刑事訴訟法等の一部を改正する法律

第一条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第三十一条の次に次の一条を加える。
第三十一条の二  弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をすることができる。
○2  弁護士会は、前項の申出を受けた場合は、速やかに、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする者を紹介しなければならない。
○3  弁護士会は、前項の弁護人となろうとする者がないときは、当該申出をした者に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。同項の規定により紹介した弁護士が被告人又は被疑者がした弁護人の選任の申込みを拒んだときも、同様とする。
第三十六条の次に次の二条を加える。
第三十六条の二  この法律により弁護人を要する場合を除いて、被告人が前条の請求をするには、資力申告書(その者に属する現金、預金その他政令で定める これらに準ずる資産の合計額(以下「資力」という。)及びその内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)を提出しなければならない。
第三十六条の三  この法律により弁護人を要する場合を除いて、その資力が基準額(標準的な必要生計費を勘案して一般に弁護人の報酬及び費用を賄うに足り る額として政令で定める額をいう。以下同じ。)以上である被告人が第三十六条の請求をするには、あらかじめ、その請求をする裁判所の所在地を管轄する地方 裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。
○2  前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所又は当該被告事件が係属する裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。
第三十七条の次に次の四条を加える。
第三十七条の二  死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件について被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者 が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者 以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
○2  前項の請求は、同項に規定する事件について勾留を請求された被疑者も、これをすることができる。
第三十七条の三  前条第一項の請求をするには、資力申告書を提出しなければならない。
○2  その資力が基準額以上である被疑者が前条第一項の請求をするには、あらかじめ、その勾留の請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。
○3  前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をしたときは、前項の地方裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。
第三十七条の四  裁判官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神 上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断することが困難である疑いがある被疑者について必要があると認めるときは、職権で弁護人を付 することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
第三十七条の五  裁判官は、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件について第三十七条の二第一項又は前条の規定により弁護人を付する場合又は付し た場合において、特に必要があると認めるときは、職権で更に弁護人一人を付することができる。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
第三十八条第一項中「基いて裁判所又は裁判長が附すべき」を「基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付すべき」に改める。
第三十八条の次に次の三条を加える。
第三十八条の二  裁判官による弁護人の選任は、被疑者がその選任に係る事件について釈放されたときは、その効力を失う。ただし、その釈放が勾留の執行停止によるときは、この限りでない。
第三十八条の三  裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任することができる。
一  第三十条の規定により弁護人が選任されたことその他の事由により弁護人を付する必要がなくなつたとき。
二  被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
三  心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行うことができず、又は職務を行うことが困難となつたとき。
四  弁護人がその任務に著しく反したことによりその職務を継続させることが相当でないとき。
五  弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させることが相当でないとき。
○2  弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならない。
○3  弁護人を解任するに当たつては、被告人の権利を不当に制限することがないようにしなければならない。
○4  公訴の提起前は、裁判官が付した弁護人の解任は、裁判官がこれを行う。この場合においては、前三項の規定を準用する。
第三十八条の四  裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、十万円以下の過料に処する。
第五十八条第一項中「勾引」を「勾引」に改める。
第八十九条第一項中「左の」を「次の」に改める。
第八十九条第一項第一号中「禁錮」を「禁錮」に改める。
第八十九条第一項第二号中「あたる」を「当たる」に改める。
第八十九条第一項第三号中「あたる」を「当たる」に改める。
第八十九条第一項第五号中「畏怖」を「畏怖」に改める。
第八十九条第一項第六号中「判らない」を「分からない」に改める。
第百八十一条の次に次の一項を加える。
○4  公訴が提起されなかつた場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用があるときは、被疑者にこれを負担させることができる。
第百八十三条の次に次の一項を加える。
○2  告訴、告発又は請求があつた事件について公訴が提起されなかつた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつたときも、前項と同様とする。
第百八十七条の次に次の一条を加える。
第百八十七条の二  公訴が提起されなかつた場合において、訴訟費用を負担させるときは、検察官の請求により、裁判所が決定をもつてこれを行う。この決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第二百三条第三項を第二百三条第四項とする。
第二百三条第二項の次に次の一項を加える。
○3  司法警察員は、第三十七条の二第一項に規定する事件について第一項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対 し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することが できる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護 士会(第三十七条の三第二項の規定により第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示し なければならない。
第二百四条第二項中「前項」を「第一項」に改める。
第二百四条第三項を第二百四条第四項とする。
第二百四条第二項を第二百四条第三項とする。
第二百四条第一項の次に次の一項を加える。
○2  検察官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引 き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる 旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会 (第三十七条の三第二項の規定により第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなけ ればならない。
第二百五条の次に次の一項を加える。
○5  前条第二項の規定は、検察官が、第三十七条の二第一項に規定する事件以外の事件について逮捕され、第二百三条の規定により同項に規定する事件につ いて送致された被疑者に対し、第一項の規定により弁解の機会を与える場合についてこれを準用する。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。
第二百七条第二項中「前項」を「第一項」に改める。
第二百七条第二項中「但し」を「ただし」に改める。
第二百七条第二項を第二百七条第四項とする。
第二百七条第一項の次に次の二項を加える。
○2  前項の裁判官は、第三十七条の二第一項に規定する事件について勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任するこ とができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただ し、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。
○3  前項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を告げるに当たつては、弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨 及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第三十七条の三第二項の規定により第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。) に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。
第二百六十七条の次に次の一条を加える。
第二百六十七条の二  裁判所は、第二百六十六条第二号の決定をした場合において、同一の事件について、検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)第 二条第一項第一号に規定する審査を行う検察審査会又は同法第四十一条の六第一項の起訴議決をした検察審査会(同法第四十一条の九第一項の規定により公訴の 提起及びその維持に当たる者が指定された後は、その者)があるときは、これに当該決定をした旨を通知しなければならない。
第二百七十二条の次に次の一項を加える。
○2  裁判所は、この法律により弁護人を要する場合を除いて、前項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を知らせるに当たつては、弁護人の 選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第三十六条の三第一項の規定によ り第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。
第三百十三条の次に次の一条を加える。
第三百十三条の二  この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人の選任は、弁論が併合された事件についてもその効力を有する。ただし、裁判所がこれと異なる決定をしたときは、この限りでない。
○2  前項ただし書の決定をするには、あらかじめ、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
第三百五十条の次に次の章を加える。
第四章 即決裁判手続
第一節 即決裁判手続の申立て
第三百五十条の二  検察官は、公訴を提起しようとする事件について、事案が明白であり、かつ、軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれるこ とその他の事情を考慮し、相当と認めるときは、公訴の提起と同時に、書面により即決裁判手続の申立てをすることができる。ただし、死刑又は無期若しくは短 期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる事件については、この限りでない。
○2  前項の申立ては、即決裁判手続によることについての被疑者の同意がなければ、これをすることができない。
○3  検察官は、被疑者に対し、前項の同意をするかどうかの確認を求めるときは、これを書面でしなければならない。この場合において、検察官は、被疑者 に対し、即決裁判手続を理解させるために必要な事項(被疑者に弁護人がないときは、次条の規定により弁護人を選任することができる旨を含む。)を説明し、 通常の規定に従い審判を受けることができる旨を告げなければならない。
○4  被疑者に弁護人がある場合には、第一項の申立ては、被疑者が第二項の同意をするほか、弁護人が即決裁判手続によることについて同意をし又はその意見を留保しているときに限り、これをすることができる。
○5  被疑者が第二項の同意をし、及び弁護人が前項の同意をし又はその意見を留保するときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
○6  第一項の書面には、前項の書面を添付しなければならない。
第三百五十条の三  前条第三項の確認を求められた被疑者が即決裁判手続によることについて同意をするかどうかを明らかにしようとする場合において、被疑 者が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判官は、その請求により、被疑者のため弁護人を付さなければならない。ただし、被疑 者以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
○2  第三十七条の三の規定は、前項の請求をする場合についてこれを準用する。
第二節 公判準備及び公判手続の特例
第三百五十条の四  即決裁判手続の申立てがあつた場合において、被告人に弁護人がないときは、裁判長は、できる限り速やかに、職権で弁護人を付さなければならない。
第三百五十条の五  検察官は、即決裁判手続の申立てをした事件について、被告人又は弁護人に対し、第二百九十九条第一項の規定により証拠書類を閲覧する機会その他の同項に規定する機会を与えるべき場合には、できる限り速やかに、その機会を与えなければならない。
第三百五十条の六  裁判所は、即決裁判手続の申立てがあつた事件について、弁護人が即決裁判手続によることについてその意見を留保しているとき、又は即 決裁判手続の申立てがあつた後に弁護人が選任されたときは、弁護人に対し、できる限り速やかに、即決裁判手続によることについて同意をするかどうかの確認 を求めなければならない。
○2  弁護人は、前項の同意をするときは、書面でその旨を明らかにしなければならない。
第三百五十条の七  裁判長は、即決裁判手続の申立てがあつたときは、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴いた上で、その申立て後(前条第一項に規定する場合においては、同項の同意があつた後)、できる限り早い時期の公判期日を定めなければならない。
第三百五十条の八  裁判所は、即決裁判手続の申立てがあつた事件について、第二百九十一条第二項の手続に際し、被告人が起訴状に記載された訴因について 有罪である旨の陳述をしたときは、次に掲げる場合を除き、即決裁判手続によつて審判をする旨の決定をしなければならない。
一  第三百五十条の二第二項又は第四項の同意が撤回されたとき。
二  第三百五十条の六第一項に規定する場合において、同項の同意がされなかつたとき、又はその同意が撤回されたとき。
三  前二号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めるとき。
四  当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。
第三百五十条の九  前条の手続を行う公判期日及び即決裁判手続による公判期日については、弁護人がないときは、これを開くことができない。
第三百五十条の十  第三百五十条の八の決定のための審理及び即決裁判手続による審判については、第二百八十四条、第二百八十五条、第二百九十六条、第二百九十七条、第三百条から第三百二条まで及び第三百四条から第三百七条までの規定は、これを適用しない。
○2  即決裁判手続による証拠調べは、公判期日において、適当と認める方法でこれを行うことができる。
第三百五十条の十一  裁判所は、第三百五十条の八の決定があつた事件について、次の各号のいずれかに該当することとなつた場合には、当該決定を取り消さなければならない。
一  判決の言渡し前に、被告人又は弁護人が即決裁判手続によることについての同意を撤回したとき。
二  判決の言渡し前に、被告人が起訴状に記載された訴因について有罪である旨の陳述を撤回したとき。
三  前二号に掲げるもののほか、当該事件が即決裁判手続によることができないものであると認めるとき。
四  当該事件が即決裁判手続によることが相当でないものであると認めるとき。
○2  前項の規定により第三百五十条の八の決定が取り消されたときは、公判手続を更新しなければならない。ただし、検察官及び被告人又は弁護人に異議がないときは、この限りでない。
第三節 証拠の特例
第三百五十条の十二  第三百五十条の八の決定があつた事件の証拠については、第三百二十条第一項の規定は、これを適用しない。ただし、検察官、被告人又は弁護人が証拠とすることに異議を述べたものについては、この限りでない。
第四節 公判の裁判の特例
第三百五十条の十三  裁判所は、第三百五十条の八の決定があつた事件については、できる限り、即日判決の言渡しをしなければならない。
第三百五十条の十四  即決裁判手続において懲役又は禁錮の言渡しをする場合には、その刑の執行猶予の言渡しをしなければならない。
第四百三条の次に次の一条を加える。
第四百三条の二  即決裁判手続においてされた判決に対する控訴の申立ては、第三百八十四条の規定にかかわらず、当該判決の言渡しにおいて示された罪となるべき事実について第三百八十二条に規定する事由があることを理由としては、これをすることができない。
○2  原裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第三百九十七条第一項の規定にかかわらず、控訴裁判所は、当該判決の言渡しにおいて示 された罪となるべき事実について第三百八十二条に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。
第四百十三条の次に次の一条を加える。
第四百十三条の二  第一審裁判所が即決裁判手続によつて判決をした事件については、第四百十一条の規定にかかわらず、上告裁判所は、当該判決の言渡しに おいて示された罪となるべき事実について同条第三号に規定する事由があることを理由としては、原判決を破棄することができない。
第五百条の次に次の三条を加える。
第五百条の二  被告人又は被疑者は、検察官に訴訟費用の概算額の予納をすることができる。
第五百条の三  検察官は、訴訟費用の裁判を執行する場合において、前条の規定による予納がされた金額があるときは、その予納がされた金額から当該訴訟費用の額に相当する金額を控除し、当該金額を当該訴訟費用の納付に充てる。
○2  前項の規定により予納がされた金額から訴訟費用の額に相当する金額を控除して残余があるときは、その残余の額は、その予納をした者の請求により返還する。
第五百条の四  次の各号のいずれかに該当する場合には、第五百条の二の規定による予納がされた金額は、その予納をした者の請求により返還する。
一  第三十八条の二の規定により弁護人の選任が効力を失つたとき。
二  訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用の負担を命ずる裁判がなされなかつたとき。
三  訴訟費用の負担を命ぜられた者が、訴訟費用の全部について、その裁判の執行の免除を受けたとき。
第五百三条第一項中「前三条」を「第五百条及び前二条」に改める。
第五百三条第一項中「申立」を「申立て」に改める。
第五百三条第二項中「前三条」を「第五百条及び前二条」に改める。
第五百三条第二項中「申立」を「申立て」に改める。
第五百三条第二項中「取下」を「取下げ」に改める。

第二条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第三十七条の二第一項中「短期一年以上の」を「長期三年を超える」に改める。

附則 (平成一六年五月二八日法律第六二号) 抄
(施行期日)
第一条  この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一  第一条(刑事訴訟法第三十一条の次に一条を加える改正規定、同法第三十六条の次に二条を加える改正規定、同法第三十七条の次に四条を加える改正規 定、同法第三十八条第一項を改め、同条の次に三条を加える改正規定、同法第五十八条及び第八十九条の改正規定、同法第百八十一条に一項を加える改正規定、 同法第百八十三条に一項を加える改正規定、同法第百八十七条の次に一条を加える改正規定、同法第二百三条第二項の次に一項を加える改正規定、同法第二百四 条第二項を改め、同条第一項の次に一項を加える改正規定、同法第二百五条に一項を加える改正規定、同法第二百七条第二項を改め、同条第一項の次に二項を加 える改正規定、同法第二百七十二条に一項を加える改正規定、同法第三百十三条の次に一条を加える改正規定、同法第二編中第三章の次に一章を加える改正規 定、同法第四百三条の次に一条を加える改正規定、同法第四百十三条の次に一条を加える改正規定、同法第五百条の次に三条を加える改正規定並びに第五百三条 及び第五百四条の改正規定に限る。)、第四条、次条並びに附則第三条及び第九条の規定 公布の日から起算して二年六月を超えない範囲内において政令で定め る日
二  第一条(刑事訴訟法第二百六十七条の次に一条を加える改正規定に限る。)、第二条、第三条(検察審査会法第八条第四号の次に三号を加える改正規定を 除く。)並びに附則第七条(附則第三条の規定を読み替えて準用する部分に限る。)及び第八条の規定 公布の日から起算して五年を超えない範囲内において政 令で定める日
(第一条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)
第二条  前条第一号に掲げる規定の施行の際現に裁判所に係属している事件の被告人については、第一条の規定による改正後の刑事訴訟法(以下「新法」という。)第三十六条の二及び第三十六条の三並びに第三十八条の三の規定は、適用しない。
第三条  司法警察員は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現に新法第三十七条の二第一項に規定する事件について逮捕されている被疑者(附則第一条 第一号に掲げる規定の施行の日前に検察官に送致する手続をした者を除く。)に対し、速やかに新法第二百三条第三項に規定する事項を教示しなければならな い。ただし、被疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。
2  検察官は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現に新法第三十七条の二第一項に規定する事件について逮捕されている被疑者(前項に規定する被疑 者を除く。)及び同条第一項に規定する事件以外の事件について逮捕され附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日前に同項に規定する事件について送致された 被疑者(次項に規定する被疑者を除く。)に対し、速やかに新法第二百四条第二項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被疑者に弁護人があると き又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。
3  検察官は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の際現に新法第三十七条の二第一項に規定する事件について勾留状が発せられている被疑者に対し、速や かに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の 選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(新法第三十七条の三第二項の規定 により新法第三十一条の二第一項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。ただし、被 疑者に弁護人があるとき又は被疑者が釈放されたときは、この限りでない。
第四条  検察官又は司法警察員は、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日前においても、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる 事件について逮捕され、又は勾留状が発せられている被疑者に対し、附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日を告げ、その日以後、勾留を請求され、又は勾留 状が発せられている被疑者が貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、その勾留の請求を受 けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示することがで きる。
2  検察官又は司法警察員が前項の規定による教示をした被疑者については、当該事件について重ねて前条の規定による教示をすることを要しない。
第五条  新法第二百八十一条の五の規定は、この法律の施行の日前に検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等については、適用しない。
第六条  犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(平成十六年法律第   号。以下「刑法等一部改正 法」という。)第二条の規定の施行の日がこの法律の施行の日後となる場合には、刑法等一部改正法第二条の規定の施行の日の前日までの間における刑事訴訟法 第百五十七条の四第二項の規定の適用については、同項中「以下同じ」とあるのは、「第三百十六条の十四第二号を除き、以下同じ」とする。
(第二条の規定による刑事訴訟法の一部改正に伴う経過措置)
第七条  附則第三条及び第四条の規定は、第二条の規定による改正後の刑事訴訟法第三十七条の二第一項の規定により新たに同項の請求をすることができるこ ととなり、又は引き続き勾留を請求された場合において同項の請求をすることができることとなる被疑者について準用する。この場合において、これらの規定中 「附則第一条第一号」とあるのは、「附則第一条第二号」と読み替えるものとする。