平成5年2 (難)三角詐欺 クレジットカードの不正使用
【刑法】 平成5年・第2問
 甲は、現金を盗もうと考え、A方に侵入し、タンスの中を物色したところ、茶封筒があり、それを取り出して中を見ると現金10万円が入っていたので、ポケットにしまって引き上げた。自宅に帰る途中、もう一度中を見ると、B信販会社発行のA名義のクレジットカ−ドが現金に紛れて入っているのに気付いた。そこで、甲は、このクレジットカ−ドを利用しようと考え、翌日、加盟店であるCデパ−トに行き、Aを装って同カ−ドを使い5万円相当のカメラを購入した。その代金相当額は、後日、B信販会社からCデパ−トに支払われた。
 甲の罪責を論ぜよ。

=構成=


一、住居侵入罪(130条)既遂

二、窃盗罪既遂(235条)

三、クレジットカードに対する窃盗 財物性があるか→ある 肯定

四、クレジットカードの不正利用による詐欺罪(246条) →肯定
  ・この点は三角詐欺構成(246条2項)と、判例理論による246条1項詐欺構成があり得る。判例理論では「カメラの交付」が損害となる。被欺罔者=処分者=被害者=Cデパートとなり話が簡単
  ・これに対し、三角詐欺を論証するのは容易ではない……
★判例で!

五、 売上げ標に、他人の名を記入することで私文書偽造罪(159条1項)、それを使用したことで偽造私文書行使罪(161条1項)が成立する