平成6年1 捜査の適正
【刑訴】 平成6年・第1問
 捜査が適正・適法に行われるために、裁判所・裁判官と検察官が果たすべき役割について述べよ。


=構成=

☆手続の流れに沿って構成


一、1、 刑事訴訟法は、適正手続を保障することで人権の侵害を防止しつつ、真実の発見に努めるという、二つの要請に応えなければならない。両者が矛盾対立する場合には、人権保障を優先すべきである。そう考えることが、最高法規たる憲法規範に従い刑事訴訟法を解釈・運用すべきであるという、いわゆる憲法的刑事訴訟法の観点から要請される。
  2、捜査とは、犯罪の嫌疑がある場合に、公訴の提起・追行のために、犯人の身柄を確保し、証拠を保全するための行為を言うが、この公判準備活動としての捜査段階においても、適正な手続が遵守される中で、真実発見が目指される場合に、その捜査を適正・適法であると評価しうる。
3、訴追者たる原告と、被告人は、公判の段階では両当事者として対等であるという建前がとられるが、捜査の段階では、犯罪の立証、刑罰の適用へ向けて、公権力が強い実力と強力な組織によって捜査を行うのであり、その過程で国民の人権を侵害するおそれがある。
 このような人権侵害を防止し、行き過ぎた捜査や、捜査の偏向を防止し、捜査の適正を保つことが要請される。
 そのために、検察官、裁判官、裁判所はどのような役割を期待されているか、以下に検討する。


二、検察官の役割

 1、・捜査は一次的には司法警察職員が行う 検察官は公判の維持に必要な範囲で補充的、二次的に捜査を行うともいえる しかし、司法警察職員に対する指示・指揮権がある(193条1、2、3項)
 ・法律の専門家である検察官が、司法警察職員に指示を与え、捜査を指揮することで、不適切な捜査方法や、行きすぎた捜査などを抑制することが期待される。

 2、捜査終結権 (246条)

 3、起訴便宜主義(248条)……公訴権を発動しない→無用に長期化する捜査を終了させる=捜査の適正・適法性を担保


三、裁判官

 令状主義 (強制処分法定主義)


四、裁判所

 ・公訴棄却
 ・違法収集証拠排除法則