【共同正犯の因果性】
【共同正犯の因果性】
 共同正犯における「一部実行全部責任」を基礎づける、構成要件該当事実に対する因果性としては、他の共犯者との共同行為による構成要件該当事実の実現を促進する物理的因果性、ないし心理的因果性が存在することが必要である。

 (また、通常そのような共犯行為により構成要件該当事実が促進される、といえる相当性も必要である)





 ★共犯に共通
  ・条件関係 物理的又は心理的に正犯行為を促進すること。が必要。

  ・結果回避可能性 不要
   理由は難解: 共犯を肯定しうる条件である心理的促進作用を除去しても、通常結果が回避されるとは言えないことから、共犯に必要な因果関係として結果回避可能性の存在は不要と解する。
   このように正犯の場合より、因果関係が拡張されうることは、正犯への犯行促進作用を禁圧することで、犯罪を抑止する刑事政策的合理性があることによって正当化されると考える。 ! 
 
  ・相当因果関係 通常、そのような共犯行為により正犯の促進がありえない場合には、相当因果関係が否定され、共犯が成立しない。