【承継的共同正犯】
【承継的共同正犯】

 先行者により構成要件該当行為の一部が行われたあとに、その事情を知りつつ加功した後行者に対し、加功前の事実を含めた共犯の罪責を問いうるか。
 思うに、共犯の罪責は正犯行為を介した因果性にあり、かつ構成要件該当事実すべてについての因果性が必要であり一部への因果性では足りない。従って、後行者は加功後の事実についてしか罪責を負わない。承継的共同正犯は否定される。


【肯定説への批判】
 これに対し、後行者の加功後にも、先行者の行為の効果が持続している場合、それを利用することで後行者の犯罪が容易になり、また後行者の参加により先行者の犯罪遂行も容易になる関係、利用補充関係があるとして、加功前の事実についても共同正犯を認めようとする見解が主張されている。
 しかし、結果が利用可能であるだけで、後行者に加功前の行為との因果関係を認めるのは妥当ではない。(例えば殺人による反抗抑圧結果を利用すれば、その後に加功して財物窃取のみ行った後行者にまで強盗殺人の共同正犯が成立することになり結論が妥当ではない)
 先行行為自体が持続していなければ、後行者の先行行為への関与はあり得ず、構成要件該当事実全体への関与はありえない以上、承継的共同正犯を認めることは出来ない。

 (2006/06/01)


 (短縮版)

 後行者の加功後にも、先行者の行為の効果が持続している場合、それを利用することで後行者の犯罪が容易になり、また後行者の参加により先行者の犯罪遂行も容易になる関係、利用補充関係があるとして、加功前の事実についても共同正犯を認めようとする見解が主張されている。
 しかし、結果が利用可能であるだけで、後行者に加功前の行為との因果関係を認めるのは妥当ではない。
 先行行為自体が持続していなければ、後行者の先行行為への関与はあり得ず、構成要件該当事実全体への関与はありえない以上、承継的共同正犯を認めることは出来ない。