略取・誘拐の罪 224条以下
略取・誘拐の罪 (拐取罪)224条以下

 【略取・誘拐の定義】
 人を生活環境から不法に離脱させ、自己又は第三者の実力支配下に置くこと。

 暴行・脅迫を手段とする場合=略取
 欺罔・誘惑を手段とする場合=誘拐 あわせて拐取(かいしゅ)

 

 【法益侵害の要件】
 @生活環境からの離脱
 A行為者または第三者の実力支配下に置くこと

 【保護法益】
 ◎被拐取者の自由及び安全(通説)
 ★被拐取者の自由、及び保護者の監護権(判例)

 ……安全を法益としないと、自由意思の認められない乳児は保護客体から外れてしまう
 ……保護者の監護権を保護法益と認めると、18歳程度の未成年者の意思に反する保護者の略取行為があった場合、未成年者の意思を優越させるべきであり妥当ではない。
 ……監護権を含めると、監護権者は被害者となり独自の告訴権を持つことになる。


 【逮捕・監禁罪(220条)との関係】

 実力支配が、移動の自由を奪う逮捕監禁の状態に至れば、逮捕監禁罪(220条)が、「別途」成立する。


 【限定条件】
 保護法益のあいまいさから、客体が未成年に限定され(224条)、または、一定の目的を要求される(225条)。