法学座敷牢 別名 ろおやぁ
1-1-05 不真正不作為犯による犯罪の成否 A
1 通常作為により実現されることが想定される構成要件を不作為により実現する場合を不真正不作為犯といい、いかなる場合に構成要件該当性を肯定できるかが問題である。
かつては、作為犯を処罰する規定を不作為犯に適用することは許されない類推解釈で罪刑法定主義違反だとの考え方もあった。
しかし、作為による構成要件の実現と不作為による構成要件の実現とを同視しうる場合には、後者を含めて、構成要件の実現として処罰対象とすることが類推解釈になるわけではない。
不真正不作為犯は、行為(作為または不作為)による構成要件の実現を処罰する規定に、不作為で構成要件を実現することにより該当する場合だと理解される。
2 不真正不作為犯の場合、構成要件に作為義務の内容が明示されていないことから処罰範囲が曖昧になる。そこで、作為義務を認めるための要件を明確にし、これを限定する必要がある。
作為義務を認めるためには、不作為による結果の惹起が保障人的地位にあるものによって起される必要があり、その場合には作為による結果の惹起と同視され、構成要件該当性が肯定されうる。
具体的には、まず前提として結果惹起についての排他的支配が必要である。これがなければ不作為と結果惹起との関係が特定されない。
その前提の上で、(1)自己の先行行為による危険の創出が肯定される場合、(2)被害者との特別の関係により保護がとくに期待される場合に、保障人的地位が認められ、作為義務があると言える。
3 保障人的地位が認められ、作為義務が肯定されても、作為可能性がなければ責任を問うことはできず、結果、不真正不作為犯は成立しない。
作為義務の有無の判定にあたり、法令や契約、事務管理などの存在により基礎づける考えがあるが、山口によれば、何故それが刑罰の基礎たりうるかが明確ではなく妥当でないとされる。
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過去問へリンクする。過去問を検討する際に、論証のファイルを直して、リンクを貼る。
山口『刑法総論』p71-
山口『問題探求刑法総論』p31- こっちのほうが分かりやすい
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