法学座敷牢 別名 ろおやぁ

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1-5-03 因果関係の錯誤(法定符合説から)

論証 《因果関係の錯誤》

 同一の結果に向けられた因果経過の相違は構成要件的評価の上で重要ではなく、同一の(構成要件的)結果にの実現に向けられた故意があり、実際に生じた因果経過が相当因果関係(ないし客観的帰属関係)の枠内にある以上、実際に生じた構成要件該当事実についての故意を肯定出来る。

論証 《ウェーバーの概括的故意》の事例

(事例:行為者が第一行為によって結果を発生させたと思っていたところ、実際には第二行為により結果が発生していたという点において因果関係の錯誤がある事例)
 (反対説批判)
 第一行為と第二行為を分断し、第一の行為につき殺人未遂、第二の行為につき過失致死罪とする見解がある。
 しかし、(第二行為により)発生した結果が第一行為と相当因果関係に立つ限り、第一行為の結果惹起責任を問題とせざるを得ない。
 思うに、第二行為は結果との関係では過失行為であるから、結果を引き受ける効力(遡及禁止効)を有しないので、第一行為と結果との間に構成要件該当性を肯定出来る。
 とすれば、この事例もまさに因果関係の錯誤の事例である。
 そして、同一の結果に向けられた因果経過の相違は構成要件的評価の上で重要ではなく、同一の(構成要件的)結果にの実現に向けられた故意があり、実際に生じた因果経過が相当因果関係(ないし客観的帰属関係)の枠内にある以上、実際に生じた構成要件該当事実についての故意を肯定出来る。

論証 早すぎる構成要件実現の事例 
既遂成立否定! 但し未遂犯成立(難)

 (判例は、この類型でも既遂成立を認めているので、山口説に立ち未遂に止まるとすると、判例には逆らうことになる)
  (遡及禁止効の意味を説明する必要がある?)

検討

 因果関係の認識そのものは必要。

 因果関係の齟齬は重要ではない、それが判例の立場。
 因果関係の錯誤は責任を阻却しない。

関連条文

この論証を使用する過去問

過去問へリンクする。過去問を検討する際に、論証のファイルを直して、リンクを貼る。

参考文献

山口『刑法総論』p191-
山口『問題探求刑法総論』p129-131 →論証に!


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