【法人の人権享有主体性】
【法人の人権享有主体性】

 まず、法人は人権享有主体と言えるか。第三章表題の「国民」は本来自然人をさすと思われ、問題となる。
 たしかに法人は自然人ではないが、社会的実在として、社会にとって大きな役割を担っているので、人権を保障するべきである。

 (たとえば、宗教団体に信教の自由、営利企業に経済的自由権、学校法人に学問の自由などが保障されないならば、その本来の目的を達成できないことからも、人権は保障される必要がある)

 しかし、自然人ではないという性質上の制約はある。人身の自由や生存権、選挙権、被選挙権などは認められない。

 (また、法人は、特定の目的を持って設立され、法により法人格を付与された存在であるから、目的の範囲外の行動をする自由はそもそも認められず、憲法上も保障されないと考える。目的の範囲内の行動であるか否かは、法人と他の自然人の対立する自由のあいだで利益衡量する際、結論を左右する基準になると考える。)(かなり独自説)(判例の比較から導出)