【私人間効力】間接適用説
【私人間効力】:間接適用説

 (近代立憲主義的な)憲法は、国家権力の執行に対し制限を設け、恣意的な権力行使を禁ずることで市民の人権を守るためにある。その名宛人は国家である。
 しかし現代においては巨大な私的団体による自由の行使が、市民の人権を侵害する場合が多々あり、これを放置しては、人権を保障しようとした憲法の意義が損なわれる。
 そこで、対国家規範である憲法を、私人間にも適用して人権を保障する必要が生じる。
 しかしこれを直接適用すると国家を縛ることで人権を保障すべき憲法が、逆に市民の人権に対する国家による不当な制限を許すことにつながりかねず、妥当ではない。
 そこで、公序良俗(民法90条)、不法行為(同709条)などの私法の一般条項を解釈する際に、憲法の趣旨を活かして、間接的に憲法規範を適用し、私人間の矛盾する利益を調整するべきであると考える。


 (学者的な小難しい言い回しは排除。憲法価値とやら、充填解釈とやら……)