【3項による補償の必要な場合】
【3項による補償の必要な場合】

 そして29条3項は、私有財産を公共のために用いる場合、「正当な補償」を要すると定めている。
 しかし、あらゆる場合に補償が必要とは言えない。
 国民の安全確保や危険防止のための規制については、一般的に誰もが受忍すべきものであり、特定人に特別な犠牲を強いるものではないので、その限度での制約であるかぎりは損失補償も不要であると考えられる。
 (例えば、ビルを建設する際、法令によって、火災対策設備、階段などを設置する負担を強いるとしても、その費用を国家が負担すべきとは言えない)
 しかし、上記にあたらない場合、つまり特定人に財産上の特別の犠牲を強いる場合には、公平な負担の観点から、正当な補償が要求される。


(「特別の犠牲」の意義につき、細かい学説があるも、そこまでは必要ない……)