【国政調査権の限界:司法権との関係】62条
【国政調査権の限界:司法権との関係】62条

【vs司法権】
 議院の持つ国政に対する広範な調査権は司法権にも及ぶのが原則である。よって、立法や予算の審議に必要であれば、判決や裁判手続についても調査対象とすることができる。
 ただし、司法権の独立の要請から、裁判活動に重要な影響を与えるような調査は認められないと考える。
 具体的には、@特定個人の有罪性を主な調査目的とする調査、A係争中の裁判について、訴訟指揮、裁判手続を対象とする調査、B裁判内容につき、もっぱらその当否を判断するための調査などは許されない。
 特に、Bについては、裁判終結後であれば裁判に及ぼす影響は少ないとして許容する考え方もあるが妥当ではない。事後的にであれ、裁判の当否を議院が判断すれば、以後の裁判において、裁判所の自主的な判断に対して圧力として作用し、司法権の独立性を強く害する。よって、裁判内容の当否を判断するための調査は、事後的にであれ一切許されないと考える。


 (・目的による制限……裁判批判にあたる調査は、司法権の独立を侵すので不可 裁判終結後も、今後の裁判に不当な影響を及ぼすから不可
 裁判批判を目的としない、立法や予算の審議のための調査であれば、並行審議も認められるし、裁判終結後は当然認められる)


【検察権との関係】
 検察事務は行政権に属する。そして、国会の行政府に対する監督統制権から、国政調査権は検察権に対しても及ぶのが原則である。
 ただし、検察権は裁判と密接に関わる準司法的作用を営む。そこで、検察権への調査についても、司法権に対するのと同様の制約に服すると言える。
 具体的には、@目的が、起訴不起訴に不当な政治的圧力を加えるものであると思われる場合、A対象が、起訴事件に直接関連する事項や公訴の内容である場合、B方法が、捜査の続行に重大な支障を来す場合には、かかる国政調査権の行使は違法ないし不当であると言える。