【外国人の公務就任権】
【外国人の公務就任権】(H9−1など)

 そもそも公務就任権は憲法上の権利と言えるか。
 公務員になるためには一般に試験による選抜を経る必要があるので、公務員になること自体が保障されるわけではない。が、試験を受ける機会自体は、職業選択の自由(22条1項)として保障される。またその機会は平等に保障されるべきである(14条)。
 ではこの権利は、外国人にも国民と等しく保障されると言えるか。
 職業選択の自由そのものは性質上、外国人にも保障されると考えるが、しかし公務の場合、公務に特有の考慮が必要である。
 公務の場合、その職種によっては、国家の政策決定や政治運営に大きな影響を及ぼすものであり、これを国民と同等に認めるならば、国民主権の原理(前文、1条)に反する恐れがある。
 よって公務の職種がそのような権能を有するものである場合には、外国人の就任を国籍条項などで制約したとしても、ただちに違憲であるとは言えない。
 もっとも、その公務が、そのような影響力を有しない場合に、単に外国人であるという理由だけで就任を制限する場合には、22条、14条に反し許されない。


【地方公務員の場合】

 (上からつなげて)以上の理は、特に国政レベルでは直接的に問題になるものである。では、地方公務員の場合にはどうか。
 外国人は国民ではないとはいえ、その地方の住民である以上、住民自治の観点からは、国政レベル以上に、その職業選択の自由は保障されるべきである。
 しかし、地方レベルとはいえ、政治的権能を有する職種である場合も想定され、その限りにおいては制限が許されることになる。
 もっとも、窓口業務や一般事務、現業性の高い職種などにおいては、そのような権能を有するとは言えず、外国人であることのみを理由とする差別的扱いは許されない。

 (以下に、制限が許される、合憲であると言えるための判断基準)
 (経済的自由権なので、二重の基準の論証)