法学座敷牢 別名 ろうやぁ

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3-2-05 安全配慮義務

論証

(前提)(業務中の事故で被用者が死亡……)
 この場合、事故を引き起こした同僚(被用者)は不法行為責任(709条)を追い、使用者も使用者責任(715条)を負う。このような構成により、被用者とその遺族は、使用者の不法行為責任を追及できる。では、(時効期間などの事情により不法行為責任が追求できない場合などに)債務不履行責任としては構成できないか。
 思うに、ある法律関係に基づいて特別な関係に入った当事者間においては、相手方の安全をする義務を、付随義務として、信義則上負うと考えられる。
 この義務(安全配慮義務)は、使用者、被用者間の雇用関係にも認められる。
 よって、被害者である被用者は使用者の暗然配慮義務違反による債務不履行責任を追求しうる
 もっとも、かかる契約責任的構成による責任追求は、時効や故意過失の立証責任という点では、不法行為的構成よりも有利であるものの、遅滞に陥る時期や、請求権者の範囲という点では不利になる。そこで、一方の構成にこだわることなく、被害者はいずれの構成による責任追求も選択的に主張できると考えるべきである。

関連条文

415条
第四百十五条  債務者カ其債務ノ本旨ニ従ヒタル履行ヲ為ササルトキハ債権者ハ其損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ履行ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキ亦同シ
709条
第七百九条  故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス
715条
第七百十五条  或事業ノ為メニ他人ヲ使用スル者ハ被用者カ其事業ノ執行ニ付キ第三者ニ加ヘタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス但使用者カ被用者ノ選任及ヒ其事業ノ監督ニ付キ相当ノ注意ヲ為シタルトキ又ハ相当ノ注意ヲ為スモ損害カ生スヘカリシトキハ此限ニ在ラス
○2 使用者ニ代ハリテ事業ヲ監督スル者モ亦前項ノ責ニ任ス
○3 前二項ノ規定ハ使用者又ハ監督者ヨリ被用者ニ対スル求償権ノ行使ヲ妨ケス

724条
第七百二十四条  不法行為ニ因ル損害賠償ノ請求権ハ被害者又ハ其法定代理人カ損害及ヒ加害者ヲ知リタル時ヨリ三年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス不法行為ノ時ヨリ二十年ヲ経過シタルトキ亦同シ

検討

この論証を使用する過去問

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参考文献

内田『民法III』p153-159


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