法学座敷牢 別名 ろうやぁ

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3-2-08 債権者代位権の転用(被保全債権の拡大)

論証

 登記移転請求や賃借権に基づく妨害排除請求などの特定債権を保全するために債権者代位権を利用する、いわゆる転用は認められるか。
 この点、代位権本来の目的は責任財産(共同担保)の保全にあるから、目的債権は金銭債権に限られるのではないかとも思える。
 しかし、423条は、目的となる「自己の債権」について「債務者の一身に専属する権利」を除くという以外に制約を設けておらず、また、債務者の無資力も要求していないので、必ずしも、金銭債権である必要はない。しかも、転用を認める社会的必要性がある。
 よって、目的となる特定債権の保全に他に直截な法手段がなく、転用による弊害もないと認められる場合には転用を認めてよい。

関連条文

423条



検討

《金銭債権の場合の無資力要件》
代位権は、責任財産が危殆化し、債権が満足を受け得ないことが明白な場合に、債務者の権利を代位して行使する権利。(例外的な制度)
 債務者に充分な責任財産があれば、責任財産保全の話にならないから、そもそも代位権を行使すべきではない、という理由から無資力要件が導き出される。
 (よって、転用の場合には無資力要件は問題にならない)

この論証を使用する過去問

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参考文献

内田『民法III』p247-
近江『債権法総論』p131-


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