法学座敷牢 別名 ろうやぁ

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3-2-09 特定債権は債権者取消権の被保全債権となるか

論証

 (事例:二重譲渡の場合)
 二重譲渡の場合、譲受人同士の優劣は対抗要件制度によって決まる。譲渡を受けなかった譲受人が、債権侵害を理由に詐害行為取消権を行使することはできない。
 しかし、売主が無資力で、譲渡を受けなかった譲受人が売主の一般財産から金銭的満足(損害賠償)すら受けられない場合には、譲受人を保護する必要がある。
 思うに、特定物債権であっても、満足を受けない場合には損害賠償債権に転化するのであるから、損害賠償請求をすることを前提として、かつその限りで、債権者取消権の行使を認めるべきである。
(但し、そうして売主のもとに戻った登記を改めて自分のもとに移転する請求は、対抗要件主義の潜脱を許すことになり認められない。)

《債権取得の時期》
 (未)

論証 詐害行為取消権の法的性質

 債権者取消権とは、詐害行為を取り消し、かつ、これを根拠として逸出した財産を債務者へと取戻すことを請求することである。よって、法的性質としては形成権であることに加え、請求権的としての性質も合わせ持つ。

関連条文

424条



検討

債権者代位権は、他人の権利を代わって行使するだけだが、詐害行為取消権は他人の契約の自由まで侵害する(本来有効な法律行為を取消す!)。私的自治への介入度合が高い。その代わり、要件が厳しい(受益者や転得者の利益も考慮する必要がある)。

考慮すべき要素:
(1)債務者の責任財産を保全する必要、
(2)債務者が自己の財産を管理する自由(特に弁済する自由)
(3)受益者・転得者の取引安全

この論証を使用する過去問

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参考文献

内田『民法III』p269-
近江『債権法総論』p150-


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