法学座敷牢 別名 ろうやぁ
3-2-10 424条1項「債権者を害する…法律行為」とは
詐害行為の客観的要件
以下の事例は詐害行為に当たるか否か。
(1)不動産の売却
不動産を適正価格で処分しても責任財産の減少はないかに思える。
しかし、確実な担保である不動産を、費消・隠匿しやすい金銭に換えることは、共同担保の効力を減少させ債権者を害する。よって、原則として詐害行為となる。
(2)弁済
一部の債権者に対する本旨弁済が、他の債権者にとって詐害行為となるか。
もともと債務者は弁済すべき義務を負っており、債権者からの請求を断れない。よって、適法な弁済は取消対象にならない。
もっとも、一部債権者と債務者が共謀し、他の債権者を害する意図をもって弁済した場合には詐害行為を認定する余地がある(共謀肯定説)。
(3)代物弁済
(未)
(4)物的担保の供与・人的担保の負担
一部の債務者Aのため物的担保を設定することは、一般債権者Aを優先債権者に転化する。そしてAへの優先弁済の分だけ共同担保が減少することを意味する。よって、原則詐害行為となる。
但し担保設定が、原料仕入れ費や教育費を新たに借入するための、営業上生活上やむを得ないものである場合、そもそも詐害意思がなく、詐害行為にあたらない。
(5)離婚による財産分与
離婚による財産分与(768条)は、夫婦の共同財産を清算分配し、離婚後の相手方の生活の維持に資するのもであり、基本的には取消権の対象とはならない。
しかし、財産隠匿の目的で多用されるのも事実であり、分与が不相当に過大で債権者を害する場合にのみ、詐害行為になると考えるべきである。
(6)遺産分割協議
遺産分割協議は、相続財産の帰属の確定という財産権を目的とする法律行為であるから取消権の対象となる。
768条
過去問へリンクする。過去問を検討する際に、論証のファイルを直して、リンクを貼る。
内田『民法III』p269-
近江『債権法総論』p150-
■重要注意:このサイトの内容を鵜呑みにしたせいで、あなたがいかなる損害を蒙ろうとも、当方は一切責任を負いません。論証などは、当然間違っているものとお考え下さい。
管理人:ヨーゼフK
BBS:法学座敷牢掲示板