【所有権移転の時期はいつか】176条 物権行為時説
【所有権移転の時期はいつか】物権行為時説

 所有権が移転する時期はいつか。
 176条は「意思表示」のあったときであると規定する。通説は、これを債権的契約の意思表示であるとして、契約と同時に所有権が移転すると考える。しかし、それはあまりに一般の取引通念に反する。555条(売買)の規定からも債権的契約がただちに物権的効果を生じさせるものでないことは明らかである。
 我が民法が物権と債権を峻別するパンデクテン体系を取っていることから、物権行為に独自の価値を認める立場からは、176条の「意思表示」とは、物権的意思表示をさすと考えられる。
 そして物権的意思表示は、引渡や代金支払い、登記など、物権変動を目的とする外部的徴表行為がなされる際に、その裏に存在する観念的な「意思の合致」を指すと考える。
 以上から、所有権の移転時期は、引渡、代金支払い・登記などが行われた時点であると考える。
 (こう考えることで、一般取引通念における所有権の移転時期を理論的にも無理なく説明できるのである。)


 (上記は近江Up50付近参照。長くなるのが難点)
 (時間がなければ通説で???)

 ★最重要論点であり、しかも前提論点であるので、短く説得的に書く必要がある! 難しい!


【所有権移転の時期はいつか】通説

 所有権が移転する時期はいつか。
 176条は「意思表示」のあったときであると規定する。
 これは債権的契約の意思表示であり、契約と同時に所有権が移転する。そう考えるのが条文の素直な読み方であろう。 ←投げやり^^



=再現=
  (2) この点、176条の意思表示を債権的な契約意思と捉えて、契約のみによって所有権が移転するとする見解がある。
 しかし、契約をしただけで代金も払わず、引渡も受けないのに所有権が移転するのは一般の取引の常識からかけ離れている。
 思うに、債権と物権とを区別する我が民法体系にあっては、債権的な意思表示だけで物権変動が起こるとする必然性はない。
 そこで、代金支払い・引渡・登記移転などの物権を移転するための具体的な行為を物権的意思表示と見るべきである。こう考えることによって、「意思表示のみによって」(176条)物権が変動するという規定を、一般の取引慣行と整合的に素直に理解できるのである。
 よって、所有権の移転時は、代金支払い・引渡・登記移転のいずれかがあったときに起こると考える。