【第三者に不法行為者は含むか】177条
【第三者に不法行為者は含むか】177条

 不動産の物権変動は登記がなければ第三者に対抗できない(177条)。では、不法行為によって所有権を侵害したものに対し所有権を主張するためにも登記の具備が必要か。第三者の範囲が問題となる。
 A ここで、第三者とは当事者とその包括的承継人以外で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有するものを指すと解される。(判例)
 
 B 177条は対抗問題を生じる場合の規定であるから対抗関係にたつもののみを第三者と考えるべきである。
 そして対抗関係に立つ者とは、両立し得ない物権相互の優先的効力を争う関係に立つ者を言う。(対抗問題限定説)(近江Up73)

 よって、不法行為者は(登記の欠缺を主張する正当な利益を持たない)(物権相互の優先的効力を争う関係に立たない)ことから、177条の第三者には含まれない。
 以上から、登記を具備しない所有者であっても、不法行為者に責任を追及しうる。


 (B説が妥当)