【賃借権による妨害排除請求】
【賃借権による妨害排除請求】

 本来、妨害排除請求権は、物権の排他性ゆえに認められる効力である。利用権的な債権である賃借権には、排他性を有する物権同様の保護の必要性があるので、妨害排除請求を認める必要がある。
 よって、特別法により実態的に物権化している賃借権には、妨害排除請求権を認めることが妥当である。


 【要件として登記は必要か】
 その要件として、登記を要求する考え方もある。
 しかし、対抗要件を具備しなければ不法占拠者を排除できないいわれなはい。よって、無権限の第三者による侵害にたいしては、特別法により物権的保護を受ける賃借権は、対抗力にかかわりなく、妨害排除請求が可能であると考える。


 【二重賃借権の事例】
 もっとも、賃借権が二重に与えられ、両者が競合する場合には、賃借同士の優劣が問題なのであるから、対抗要件によって優劣を決すべきである。




 ★賃借人は、
  @所有者の、所有権に基づく妨害排除請求を、代位行使でき、(債権者代位権の転用)
  A賃借権による妨害排除請求が認められ、
  B占有者という地位により、占有訴権(占有保持の訴え198条)

 のいずれの方法でも第三者の侵害を排除することが可能である。