◎【賃借権の物権化】
【賃借権の物権化】

 賃貸借とくに、借地権、借家権は、所有権から使用収益権能を債権的に借り受けたものであり、借り受けた使用収益権そのものは物権的な絶対性を持つ。
 不動産賃借権が、債権としては例外的に登記によって対抗力を得ることができるのは、物権的に保護されていることの現れである。
 しかし、これらの不動産利用権は債権として構成されているため、契約自由の原則があり、所有者には登記協力義務はない。その結果、不動産賃借人の地位は弱く、社会問題の原因となってきた。
 そこで、不動産賃借人を保護する目的で、借地借家法などの特別法が定められて、権利の内容が法定され、物権的な権能が与えられて保護されるに至っている。
 例えば、登記がなくても、借地権の場合は、建物の保存登記により第三者に対抗できるし、借家権の場合は、建物の引渡を受けたことによって第三者に対抗できる。これらは、特別法によって与えられた物権的対抗力である。

 (2006/05/26)