【債権者取消権の法的性質】424条 折衷説
【債権者取消権の法的性質】424条 折衷説

 詐害行為取消権 ともいう

 詐害行為取消権は、債権者を害することを知って行った債務者の法律行為を取消すことを裁判所に請求する権利である。424条。
 この場合の取消しを、文言通り121条の「取消し」であるとし、取消権の性質を形成権であるとする考えがある。こう考えると取消しは絶対効を有することになる。(形成権説)
 しかし形成権であるとすると、財産の取り戻しには、別途、債務者の不当利得返還請求権を代位行使する必要があり、迂遠であるし、取消しに絶対効を認めると取引の安全を害するので妥当ではない。
 しかし、債権者取消権を、逸出した財産を取り戻す返還請求権であると考えると、424条の文言に反し妥当ではない。(請求権説)
 そこで、債権者取消権は、詐害行為を取消し、かつこれを根拠に、逸出した財産の債務者への取戻しを請求することであると考える。(折衷説)

 この場合の詐害行為の取消しは、法律行為の取消し(121条)とは異なり絶対効を必要としない。債務者への財産返還に必要な範囲で、効果を否認できれば足りるので、取消す債権者と相手方の間では無効になるが、それ以外の関係には影響を与えない相対的取消しであると考える。(相対的取消)