【解除・無効・取消による、保証人の原状回復義務の範囲】
【解除・無効・取消による、保証人の原状回復義務の範囲】特定物の売主限定説


 契約の解除または無効・取消により生じる原状回復義務は、保証債務の範囲に含まれるであろうか。
 (全面承認説(我妻)批判)
 この点、、保証人は契約当事者として負担する一切の債務を保証するのが通常であり、解除の場合の原状回復義務や損害賠償義務についても原則保証すべきであるとする説もある。
 しかし、債務保証の範囲を、身元保証のように義務違反について無限定に拡大することは妥当とは思えない。
 (特定物の売り主限定説)
 よって、保証債務は原則として本来的な履行を保証するものであると考える。
 ただし、特定物の売主の場合などは、保証人による代替的履行が不可能であるので、それを前提としてなされる保証は「売主の債務不履行責任に基因して売主が買主に対して負担することあるべき債務につき責に任ずる趣旨」でなされると考えられる。
 よって、かかる保証人については、売主の原状回復義務の責任を負わせることが妥当である。


 近江Wp216