【保証債務の相続性、共同相続】896条、
【保証債務の相続性、共同相続】896条

 【原則】
 保証債務は、当事者間の信頼関係が、成立の大きな要因となるので、相続性を認めるべきが問題となる。
 この点、身元保証や、包括的信用保証などの、保証額をあらかじめ知り得ない継続的保証債務については、特に主債務者と保証人との特別な人間関係が基礎となっていると考えられるので、その責任を相続人に負わせることは酷である。この場合、保証債務は「被相続人の一身に専属」(896条但書)するものとして、相続されないと考える。
 もっとも、このような問題の少ない普通の保証債務については、896条の原則に戻って、「被相続の財産に属した」「義務」に含まれるものとして相続されると考える。

【共同相続の場合: 不可分債務、可分債務】

 保証債務を共同相続した場合、それぞれの相続人はどの範囲で責任を負うか。
 給付目的物がが特定物、または不特定物でも不可分である場合には、当該債務も不可分債務となり、共同相続人間においても不可分的に債務が帰属することになる。
 よって債権者は、各相続人に対し、全部の給付を同時または順次に請求できることになる。

 これに対し、目的物が可分な不特定物である場合には、争いがあるが、多数当事者の債務は分割債務となるのが民法原則であるから(427条)、共同相続人においても、保証債務が可分であるかぎり、その相続分に応じて保証債務を負担することになると考える。