【協議離婚の無効】763条
【協議離婚の無効】763条

 【離婚意思の意義】

  夫婦は、その協議によって離婚できる(763条)。
  ここで、協議とは離婚意思の合致を意味するが、その意思とは、夫婦関係を事実上解消する意思を要するか、それとも、届け出をするという形式上の意思で足りるか。
 思うに、法的な婚姻の効果を望まない場合であっても、事実上の夫婦関係を消滅させる必要はなく、それを存続させるという意思は認められてよい。よって、ここでいう離婚意思とは、法律上の婚姻効果の消滅を目的として、届け出を出す形式的な意思で足りると考える。


 【協議離婚の無効原因】
 以上から、「協議」そのものが存在せず、届け出意思がないばあい、つまり一方が独断で提出した離婚届は無効である。
 逆に、有効とされるには、法律婚の効果を放棄する意図があれば足りる。
 よって、方便のための離婚も有効であると考えられる。
 具体的には、@強制執行を逃れる目的、A氏変更をする目的、B生活扶助を受ける目的の離婚などは、実質的夫婦関係を消滅させる意図がなくとも、有効な離婚であると言える。