【無権代理と相続】地位併存説
【無権代理と相続】地位併存説

 相続などによって、無権代理人が本人の地位を継承したり、逆に本人が無権代理人の地位を取得した場合、無権代理人は、本人の地位で追認拒絶が出来るか。

 (資格同化説×)
 この点、相続などによって、両者の地位が同化すると考えると、無権代理が有権代理となり、結果、本人の追認拒絶権は消滅することになる。
 しかし、本人が、無権代理人を相続するという偶然の事情で追認拒絶権を失うとするのは妥当ではない。
 そこで、相続などがあっても、両者の地位は併存するのであり、無権代理は無権代理のままであると考える。
 こう考えると、追認拒絶権は存続することになる。
 ただし、無権代理人が、本人の地位を得たと主張して追認を拒絶することは信義則から否定すべきである。何故なら、無権代理人はそもそも本人から追認を得られると期待して代理行為をしたものであり、また、自ら履行責任を負うべき地位にあるからである。