法学座敷牢 別名 ろうやぁ
論証集:民事訴訟法
全面的に準備中
P要素でないベタ文章は、柴田作成のモノ:下書き、参考用
(問題設定) 当事者は訴訟契約として管轄の合意ができる(11条)が、このとき、専属的合意かあるいは附加的合意か不明確な場合は、どちらと推定すべきだろうか。 (原則) 合意が法定管轄の範囲でなされている場合には附加的と考えても無意味なので専属的と推定されるが、では、法定管轄範囲外で合意された場合はどうか。この場合、あえて法定外の管轄を合意した当事者意思からは専属的と考えるのが自然とも思える。しかし、法定管轄を排除することによって、一方当事者が、出廷に困難を来たすなどの不利益をこうむる危険を避けるためには、附加的合意であると推定するべきである。 (約款などの形式的合意の場合) 保険の契約約款に代表される、企業と消費者が取り交わす契約書において、管轄の合意がなされる場合には、一方の都合で形式的な管轄合意がなされ、他方当事者には実質的な合意の意思がない場合がある。この場合も、弱者保護の観点から、合意を附加的と考えるべきである。 (補足) なお、専属管轄の場合も、当事者の合意に基づくものであれば、裁判所は職権で移送することができる。(17、20条) |
■参考条文
(管轄の合意)
第十一条 当事者は、第一審に限り、合意により管轄裁判所を定めることができる。
2 前項の合意は、一定の法律関係に基づく訴えに関し、かつ、書面でしなければ、その効力を生じない。
(遅滞を避ける等のための移送)
第十七条 第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
(専属管轄の場合の移送の制限)
第二十条 前三条の規定は、訴訟がその係属する裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属する場合には、適用しない。
(問題) 誰が実際の当事者か、疑義が生じた場合、いかなる基準で当事者を確定すべきか。 (反対説批判)(不要) 意思説……当事者の意思を判断する根拠が明確ではない。当事者確定を当事者の意思による、とするのは背理。行動説……何をして当事者としての行動というか不明確。 (当事者の意義)(略?) (当事者は判決の名宛人として、判決に拘束されるため、当事者には十分な手続保証が必要とされる。) (実質的表示説) 訴訟を開始するにあたって、迅速かつ明確に当事者を確定するためには、訴状の表示によって判断するべきである。もっとも、当事者氏名の記載のみを形式的に判断すると、実質的妥当性を欠き、訴訟経済にも反することになる。そこで、請求の原因や趣旨など一切の記載を合理的に解釈して、当事者を確定すべきである。 |
【審理途中で冒用発覚】 (事例:原告甲が乙を冒用した場合) 意思説→当事者、確定できない× 行動説→冒用者(甲)が当事者となる。表示の訂正をする。 表示説→被冒用者(乙)が当事者となる。任意的当事者変更をする。(甲の行為は無権代理に準じて考え、乙の追認があれば遡及的に有効となり、追認が無ければ、訴えは却下されると考える。 (事例:被告丙が丁を冒用した場合) 意思説→被冒用者(丁)が当事者となり、訴状記載通りに確定(!?) 行動説→冒用者(丙)が当事者となる。表示の訂正をする。 表示説→被冒用者(丁)が当事者となる。裁判所は丙を排除し、丁を呼び出して、応訴(訴訟追行)させる。 【冒用発覚せず、被冒用者名で判決】 (事例:被告丙が丁を冒用した場合) 意思説→被冒用者(丁)に判決効及ぶ。(??)→上訴・再審で争う必要あり。 行動説→被冒用者(丁)に判決効及ばない。→だが、外観上は判決の効力があるので上訴・再審で争うことができる。 表示説→被冒用者(丁)に判決効及ぶ。→上訴・再審で争う必要あり。 |
(訴訟能力等を欠く場合の措置等)
第三十四条 訴訟能力、法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠くときは、裁判所は、期間を定めて、その補正を命じなければならない。この場合において、遅滞のため損害を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、一時訴訟行為をさせることができる。
2 訴訟能力、法定代理権又は訴訟行為をするのに必要な授権を欠く者がした訴訟行為は、これらを有するに至った当事者又は法定代理人の追認により、行為の時にさかのぼってその効力を生ずる。
3 前二項の規定は、選定当事者が訴訟行為をする場合について準用する。
(法定代理の規定の準用)
第五十九条 第三十四条第一項及び第二項並びに第三十六条第一項の規定は、訴訟代理について準用する。
(口頭弁論を経ない訴えの却下)
第百四十条 訴えが不適法でその不備を補正することができないときは、裁判所は、口頭弁論を経ないで、判決で、訴えを却下することができる。
(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
(事例) 死者Aに対して訴訟提起され、相続人Bが訴訟追行した場合 (原則:表示説から) 訴状の表示から、Aが当事者とされるが、Aは既に死亡して実在せず、死者に当事者能力がない以上、訴えは棄却される。これを看過して本案判決がされても、判決は無効である。 (例外的措置) しかし、上記原則に対し、例外的な処置をするほうが、当事者の利益にかない、訴訟経済にも資する場合がある。 例えば、(1)訴え提起後、訴訟係属前にAが死亡していた場合は、潜在的に訴訟係属が生じていたと考え、当然継承を類推して、訴訟係属後に当事者が死亡した場合に準じて、相続人が訴訟を継承できると考える。(124条1項1号類推) (注:訴訟係属時は、被告へ訴状が到達した時点=二当事者対面構造が成立するから) また、(2)潜在的訴訟係属が生じていない場合にも、相続人が訴状を受けとり死者の名で応訴していた場合には、任意的当事者変更により、相続人を当事者として訴訟を承継できると考える。 死者の権利関係を受け継ぐ相続人は、実質的な当事者といえ、実質的な当事者が訴訟に関与していれば、手続保障は果たされているし、また相手方当事者の訴訟上の既得の地位を保障することもできる。 |
(訴訟手続の中断及び受継)
第百二十四条 次の各号に掲げる事由があるときは、訴訟手続は、中断する。この場合においては、それぞれ当該各号に定める者は、訴訟手続を受け継がなければならない。
一 当事者の死亡
相続人、相続財産管理人その他法令により訴訟を続行すべき者
民法上の組合に当事者能力は認められるだろうか。 組合には社団性が認められないため、29条の要件を満たさないとも思える。 しかし、(1)組合財産は組合員の共有に属する(民法668)とはいえ、個人財産とは区別されていること、(2)組合に帰属する法律関係が存在する以上、それに関しては組合の名で訴訟追行することが便宜であること、(3)業務執行組合員(民法670)は組合の代表者とみなされ、これが訴訟追行にあたれば、組合員に格別不利益を与えることもないこと、(4)紛争の相手方に対し、構成員を探知して提訴する負担を強いるのは酷であること、などの理由から、組合も代表者の定めがある限りにおいては訴訟法上の社団にあたり当事者能力が認められると考える。(29条) (判決効が、構成員に及ぶ根拠) なお、団体を当事者とする判決の効力は、構成員に及ぶか。 これについては、組合の代表者が、訴訟担当者として当事者になるとすれば、115条1項2号により、その効力が、構成員に拡張されると考える。 |
(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。
29の趣旨:実際の紛争主体を裁判上も紛争主体とすることが解決手段として現実的である、ということ。
(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人 「当事者」=組合、「他人」=構成員
[民法](組合財産の共有)
第六百六十八条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
(業務の執行の方法)
第六百七十条 組合の業務の執行は、組合員の過半数で決する。
2 前項の業務の執行は、組合契約でこれを委任した者(次項において「業務執行者」という。)が数人あるときは、その過半数で決する。
3 組合の常務は、前二項の規定にかかわらず、各組合員又は各業務執行者が単独で行うことができる。ただし、その完了前に他の組合員又は業務執行者が異議を述べたときは、この限りでない。
当事者能力を欠いていることを見過ごして本案判決がなされた場合には、当事者能力のない名宛人に既判力や執行力が及ぶいわれもなく、内容的に無効の判決と考える。 もっとも、外形上は有効な判決に対する救済が必要であり、「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反」として、控訴上告が可能である。(312条3項) |
(上告の理由)
第三百十二条 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
3 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。
■重要注意:このサイトの内容を鵜呑みにしたせいで、あなたがいかなる損害を蒙ろうとも、当方は一切責任を負いません。論証などは、当然間違っているものとお考え下さい。