【民法上の組合と当事者能力】29条
【民法上の組合と当事者能力】29条

(判例:当事者能力肯定説)

 民法上の組合(民法667条以下)が、29条の社団として当事者能力を有するか、それとも組合員全員が当事者となる必要があるかが問題となる。
 (否定説)
 この点、社団とは異なる個人の結合形式としての組合契約であることを重視する観点から、各組合員に当事者としての地位を認めるべきであるとし、また任意的訴訟担当や選定当事者を活用して訴訟の簡素化を図れるので、組合の当事者能力を認めるべきでないとする見解もある。
 (肯定説)
 しかし、社会的実体としての社団と組合の区別は困難であるし、その判断の誤りの危険を紛争相手方に負担させるのは妥当ではない。
 また組合自身に当事者能力を認めても、その代表者が訴訟追行に当たるのであれば、組合員に特別な不利益は生じないと言える。
 そもそも29条の趣旨は、事実上の紛争の主体を、訴訟上も当事者として扱うことが、紛争解決のために最も合理的であるという点にあり、その理は社団であれ組合であれ異ならない。
 よって民法上の組合であっても、代表者の定めがあるものについては、29条の「社団」として、当事者能力を認めることが出来ると考える。


(上田p93、デバイスp42)


=参考条文=

(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条  法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

(選定当事者)
第三十条  共同の利益を有する多数の者で前条の規定に該当しないものは、その中から、全員のために原告又は被告となるべき一人又は数人を選定することができる。



(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条  確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一  当事者
二  当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人


(民法)
(組合契約)
第六百六十七条  組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。