☆【二重起訴禁止の趣旨】(頻出!)
 現に訴訟係属中の事件について、同一の当事者は同一の事件につき、別訴を提起できない(142条)。これを二重起訴の禁止という。
 @後訴における矛盾判決の回避、A被告の二重応訴の防止、B訴訟経済がその趣旨である。
(その根拠は、@相手方に応訴のための過大な負担をかけること、A訴訟の不経済、B同一事件に対し、複数の判決が矛盾を生じる危険、これらを避けることにある。)
   【要件】 @当事者、およびA事件の同一性
   【当事者の同一性】原告被告が入れ替わっても同一性はある。
   【事件の同一性】 通説は@訴訟物が同一である場合とする。伊藤は、これに加え、A訴訟物たる権利関係の基礎となる社会生活関係が同一であり、主要な法律要件事実を共通にする場合、 も142条の事件の同一性がある場合とする。
  Aの理由:「事件」の概念を訴訟物と同一とする必然性はない。訴訟物の同一性の場合のみとすると対象が狭きに失する。(旧訴訟物理論に立つからであろうか?)
    伊藤191
(重複する訴えの提起の禁止)
第百四十二条  裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。