【手形債権不存在確認訴訟の係属中の手形訴訟の提起】(難)
(1) 手形債権不存在確認訴訟の係属中に、同一の手形債権について手形訴訟を提起することは二重起訴にあたるか。
 この点、たしかに、@当事者の同一性、A訴訟物の同一性があるので、形式的には二重起訴に該当する。
 しかし、通常訴訟の中では「同種の訴訟手続」136と言えない手形訴訟を、反訴として提起出来ないため、公訴提起を許さないと手形所持人を害する。
 よって、この場合は例外的に二重起訴の禁止に触れないと解する。
(2) ただし、審理の重複や、矛盾判決の危険があることに変わりはないので、この場合、裁判所は、確認訴訟の手続を一時停止するよう要請し、手形訴訟が異義申し立てなどによって通常訴訟に移行した段階で、弁論の併合を命じるのが妥当である。
   デp73