【確認の利益の要件】
 確認の訴えの訴訟物(確認対象)は論理的には無限定であり、かつ確認判決は執行力を持たないので、既判力だけで紛争が解決できる場合は限られる。そこで確認の利益については、@紛争解決に有効性があり、A確認判決が必要であり、B確認判決が紛争解決に適切である場合にのみ認めるべきである。
 (具体的にはまず、@確認対象は権利関係であり、かつ紛争解決への有効性から現在の権利関係であることが原則であるが、有効性が認められれば過去の権利関係でもよい。また、権利関係の基礎となる決議の存在や効力などの事実関係も認められる。
 また、A紛争を確認判決によって即時に解決する必要性も要求される。被告が訴訟物たる権利関係を争っている事情、時効中断や公簿の記載の訂正の必要性などがそれにあたる。そして、B確認判決が紛争解決に適切であることが必要である。例えば、将来の権利関係を確認すること、形成権や請求権の存在確認も、確認の対象として適切性を欠く。
     伊藤148-