【境界確定訴訟の当事者適格】
 境界確定訴訟においては土地所有権ではなく、公的な意味を持つ境界の位置が訴訟物であるので、誰に当事者適格を認めるかが問題となる。
 これを定めるにあたっては、誰に訴訟を追行させ、誰に本案の判決をすることが必要かつ有意義であるか、という観点から判断すべきであり、よって、境界確定に最も密接な利害関係を持つ隣接地の所有者に当事者適格を認めるべきである。
 なお、隣接する甲乙地の境界が争われる場合で、甲地のうち境界の全部に接する部分を乙地所有者が時効取得したとしても、甲地所有者は、境界を争う隣地所有者であることに変わりはなく、当事者適格を失わない。当事者適格は時効成立とは切り離して判断される。
 もっとも、甲地全部が時効取得された場合には、隣地所有関係が消滅し、当事者適格も失われると考えられる。(最判平成7、7、18)
    伊藤137  百選T p158、231、232