【処分権主義】
【処分権主義】

【定義】処分権主義とは、当事者が@訴訟の開始の有無、A訴訟物とその範囲、B判決によらない訴訟の終了を選択するか、につき自由に決定できるという建前を言う。

【意義】
・「訴訟の開始」「審判の対象・範囲」「訴訟の終了」
・私法実体法レベルでの権利義務関係における、私的自治の原則を、訴訟法に反映させた原則。
民事訴訟における、当事者意思の尊重を図る。
・請求のレベルでの当事者の自治(vs攻撃防御レベルでは「弁論主義」がその現れ)

【内容】
@ 訴訟の開始
(1)不告不理の原則 裁判所は、当事者からの訴え提起がなければ、職権で訴訟を開始し審判をすることは出来ない。

(2)訴訟形式の自主決定 給付・確認・形成訴訟のいずれの訴訟類型で自己の権利を実現するか、当事者が決定できる。
また請求を併合する場合、7条(併合請求における管轄)、136条(請求の併合)の要件を満たすかぎり、単純併合によるか、選択的併合によるか、予備的併合によるか、当事者が自由に選択できる。

A訴訟物とその範囲
審判の対象は、当事者が請求として特定する。(133条2項)
また、裁判所は、当事者が申し立てていない事項について裁判できない(246条)。
【246条の趣旨】
判決事項の内容を原告の申立事項に限定することの意味は、原告の当事者意思を尊重するとともに、被告の防御範囲を明確にして、不意打ちの結果となることを防ぐ点にある。よって、246条に反する判決か否かは……
【246条の違反の有無】
@原告の合理的意思に反しないこと
A被告にとって不当な不意打ちの結果にならないこと という2観点から判断


【一部容認判決の可否】
訴額より少ない範囲での認容判決を一部認容判決という。通常原告は主張しうる限りの金額を訴額とするので、これは原告の合理的な期待に反するものではなく、また、全額について争っていた被告にとって不意打ちにもならないので、246条に反することなく有効である。


関連論点
【一部請求の可否】