【既判力の客観的範囲】114条
【既判力の客観的範囲】114条

原則 確定判決の主文のみ(114条1項)
例外 相殺の抗弁により対抗した額(114条2項)


 (原則)
 既判力は、確定判決の主文にのみ生じるのが原則である。(114条1項)
 その趣旨は、主文に現れた訴訟物たる権利義務について既判力を認めれば紛争解決に十分であること、また、仮に理由中の判断にまで既判力を認めると、当事者の意思に反し不意打ちの結果になるおそれがあるし、裁判所の効率的な審理を害することにつながる、という点にある。

 (例外)
 しかし、理由中の判断であっても、相殺の抗弁の判断については、相殺によって対抗した額に限って既判力が生じる(114条2項)。
 その理由は、相殺の抗弁についての判断に既判力を認めないと、訴求債権の存否の争いが、反対債権を訴訟物とする後訴で蒸し返され、前訴判決が無意味になってしまうということにある。










=参照条文=

(既判力の範囲)
第百十四条  確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
2  相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。