【限定承認における既判力】
 判決主文中の「相続財産の範囲で」という限定には既判力は及ぶか。
 思うに、限定承認における「相続財産の範囲で」という限定は責任を限定するものであって、債務を限定するものではない。かかる制限は訴訟物である給付請求権にかかわるものではないので、既判力が及ばないとも思われる。
 しかし、給付判決が債務名義として強制執行の基礎となることを考慮し、債務者財産への執行可能性としての責任の範囲にも、信義則上、既判力に準じた遮断効が働くと考える。
 伊藤:信義則上の遮断効が働くとする。
 判例:既判力を認める。
  伊藤479  百選3版A33