【無効な財産引受の追認の可否】28-2
【無効な財産引受の追認の可否】28-2

 法定要件を欠く財産引受は無効であるが、成立後の会社の追認によってこれを有効とすることはできるか。
 この点、追認を認めれば、厳重な条件を定めた法の趣旨を没却するとして、追認を認めないのが判例である。
 しかし、財産引受を規制する趣旨は会社財産の確保である。そこで、必要な財産の取得について、追認を認めず改めて契約をしなおすよりも、追認したほうが有利であり会社財産を害さないのであれば、追認を認めたほうがむしろ法の趣旨に適う。
 よって、会社による追認を認めるべきである。
 ただし、代表取締役の一存で追認が出来るとすると財産引受の脱法を認めることになる。そこで、追認には、株主総会の特別決議など、事後設立(467条1項5号)と同じ手続を求めるべきである。