【発起人の権限と財産引受】
【発起人の権限と財産引受】

なお、財産引受の追認の可否について、発起人の権限が開業準備行為に及ぶと解さなければ財産引受の追認が許さないとする見解があるが、妥当ではない。
 何故なら、28条により、定款に記載のない財産引受は無効である以上、民法119条をそのまま適用すれば、発起人の権限が及んでいるいないにかかわらず、追認は否定せざるをえないことになるからである。
 財産引受の追認が認められるのは、28条の立法趣旨を合理的に解釈することによる。立法趣旨である会社財産の確保のためには、取引の相手方に無効の主張を認める必要はなく、会社に追認を認めるべきである。

(私見によれば、発起人の権限は開業準備行為に及ばない。そこで、28条を合理的に解釈するならば、定款に記載のない財産引受は権限外の行為であるが、それは無権代理行為と認められ、その会社による追認を認めるべきことになる)
    前田 9版p32