【法人格否認の法理】
 法人とその社員は別個の法人格であり、それは一人会社であっても変わらない。しかしその実質が個人企業であって会社即個人であるような場合、取引相手としてはどちらと取引しているのか判然としない場合もある。この場合は、法人格を否認し会社と社員を同一視して取引安全を図るべき場合もある。
 ただし、あくまで法が認めた別人格であるから安易にかかる法理を適用すべきではなく、@法人格が全く形骸化している場合、またはA法の適用を回避するために法人格を濫用している、という事情がある場合には法人格の否認が許されると考える。
    百選3 前田〔826〕