【違法行為差止請求権(違反行為の効力)】360条
 (要件) @取締役が法令又は定款に違反する行為をしようとしている場合 (行為の有効無効を問わない)
 A 監査役設置会社または委員会設置会社では、回復できない損害が生ずるおそれ360-3があること、それ以外の会社では、著しい損害が生ずる恐れ360-1 (注:監査役設置会社または委員会設置会社の場合、「著しい損害が生ずる恐れ」があるときは監査役または監査委員の差止請求が認められている385-1,407-1)
   前田〔500-502〕

 (差止めを無視してなされた行為の効力) 
 @発行差止の仮処分に違反してなされた新株発行の効力: 無効!
 (理由)株主に差止請求権が認められる根拠は、不公正な発行などによって既存株主の利益が害されることを防ぐ点にある。にもかかわらず、新株発行の法的安定性、取得者の保護を優先して、株式発行を有効とすれば、差止請求権を認め、かつ仮処分命令によってその実効性を担保しようとした法の趣旨を没却する。
 A取締役会の承認なしにされた利益相反取引や取締役の権利濫用:悪意の第三者に対しては無効を主張できるが、それは承認を欠く利益相反取引や取締役の権利濫用行為そのものの効果であって、差止請求の効果とはいえない。
 百選32(判例H5.12.16) vs 前田〔502〕 ここは判例で!