【名目取締役・登記簿上の取締役(表見取締役)・退任取締役の429条責任】
(名目取締役) 429条責任を負う。名目的か否かは取締役と会社間における関係であって、第三者の関知しない問題である。
(登記簿上の取締役(表見取締役)) 選任手続を欠く表見取締役は本来「取締役」429に当たらない。また、不実登記の不実を第三者に対抗できないのは登記義務者たる会社である908-2。しかし、不実登記に承諾した表見取締役は、虚偽の外観作出への帰責性が認められるから908-2を類推適用→その結果492条責任を負う。
(退任取締役) 辞任したにもかかわらずあえて積極的に取締役として行為した場合を除き、原則として429条責任を負わない。ただし、不実登記を残存させることにつき明示的に承諾を与えていた場合には908-2類推適用→その結果492条責任を負う。
   前田〔503〕 百選79、80 デバイスp197