【監査役の就任資格】
 監査役は、会社又は子会社の取締役や使用人など業務執行に関わる役職との兼任を禁じられる。335
 その趣旨は、監査役の独立性確保と、自己監査の防止という点にある。
(横滑り監査役) では、業務執行を行っていた者が監査役に就任した場合(横滑り監査役)、自ら業務執行していた時期について監査することはできるか。
 ☆判例s62.4.21の肯定説……《根拠》@335は取締役その他を監査役に選任することを禁じていない。A336は監査役の任期と監査対象期間の一致を要求せず、これは自己監査を許容する趣旨である。B心機一転して監査役の立場で監査することは可能である。
 ☆しかし、判例は現状(ほとんどが横滑り監査役!)を追認したに過ぎないのでは?(Bなど開き直りみたいなもの「やろうとおもえばできないことはないべさ!」) →前田〔544〕自らが組み込まれていた業務執行体制が違法又は不当であった場合、監査役になったからといってその違法性を指摘することは期待できない! ゆえにH5改正法で社外監査役制度が導入された!(=監査役の中に、業務執行体制に組み込まれたことのない社外者がいることを要求)(詳細は社外監査役制度)
  ★本試験で出たら判例でw

(監査役である弁護士による訴訟代理の可否)
 弁護士が監査役となっている場合に、その弁護士が会社の委任を受けて訴訟代理人となることはできるか。訴訟代理人が「使用人」335-2に当たるか問題となる。
 この点、特定の訴訟における訴訟代理は、継続的な利害関係を生じる「使用人」には当たらないと考えられる。また、会社の事情に詳しい弁護士に訴訟代理を委任する必要性もある。よって、監査役である弁護士が会社の訴訟代理人となることは兼任制限335-2に当たらず可能である。
    百選82 前田〔543〕