法学座敷牢 別名 ろおやぁ
択一対策知識整理ノート:憲法 人権
旧説:特別権力関係理論を背景に、公共の福祉+「全体の奉仕者」という抽象的観念を根拠とした。
判例:批判を受け、全逓東京中郵事件判決にて、公務員も一般勤労者同様に基本権の保障を受けるが、職務の性質上、国民全体の利益の保障のため内在的制約を内包するとした。
芦辺:根拠は、憲法が公務員関係の存在と自律性を憲法秩序の構成要素として認めていることに求めるのが妥当とする。
■猿払の郵便局員が衆議院選挙の選挙用ポスターを公営掲示板に掲示し、他に配布したところ、国家公務員法102.1(人事院規則一四―七(政治的行為)の6項13号)に反するとして起訴された事件。
★下級審:機械的労務に携わる現業国家公務員が、勤務時間外に、国の施設を利用せず、職務を利用することなく行った行為まで刑事罰を課すのは必要最少限度とは言えず、違憲、と判示。
★最高裁判例:@行政の中立性と、これへの国民信頼の確保という規制目的は正当、A政治的行為の禁止は目的との間に合理的関連性があり、B禁止によって失われる利益と得られる利益の均衡が取れている(比較考量)、として、合憲であるとした。
■公務員の政治的行動を制限した、国家公務員法102.1
第百二条 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
■法102.1が委任する人事院規則
人事院規則一四―七(政治的行為)
(政治的行為の定義)
6 法第百二条第一項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。
十三 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること。
通信傍受法案に反対する集会に参加:「仮に反対の立場で発言しても積極的政治活動にあたるとは考えないが、パネリストとしての発言は辞退する」と発言。戒告処分に。
★「積極的政治活動とは、組織的、計画的または継続的な政治上の活動を能動的に行い、裁判官の独立と中立・公正を害する恐れのあるもの」とし、その禁止は「合理的で必要やむを得ない限度にとどまる」とし、寺西判事補の行為を「個人的な意見の表明域を越え厳に避けるべきもので、積極的政治活動に当たる」と判断
裁判所法 第五十二条
(政治運動等の禁止) 裁判官は、在任中、左の行為をすることができない。
一 国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。
二 最高裁判所の許可のある場合を除いて、報酬のある他の職務に従事すること。
三 商業を営み、その他金銭上の利益を目的とする業務を行うこと。
憲法規定は私人間に適用されるか?
私法の一般条項(ex.民法90公序良俗)を、憲法の趣旨を取り込んで解釈適用することで、間接的に私人間の行為を規律しようとする。通説判例。
・ただし、15.4、18、28条など、人権規定の趣旨、目的、法文から、直接適用される人権がある。
第十五条
○4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。
第十八条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
ある種の人権規定(自由権、平等権、制度的保障)が私人間にも直接適用されると説く。
■直接適用説の問題点。
1、私的自治の原則が害される。私人間の行為が憲法により大幅に制約されるおそれ。
2、基本的人権は、元来、主として「国家からの自由」という対国家的権利である。
3、「自由権・社会権の区別が相対化した結果、複合的な性格を持つに至った権利」(社会権的な側面を持つ自由権)の直接適用を認めると、却って自由権が制限されるおそれがある。→国家権力の介入を是認する端緒が生じる。
私企業が、労働者の採用決定にあたって、思想信条を調査し、これに関する事項の申告を求める→違法ではない
無届で法案反対署名運動+無許可で政治団体加入→「生活要録」規律違反として自宅謹慎処分→大学の取り調べの実情をマスコミに公表→退学処分→生活要録が憲法19条21条に反するとして、学生たる地位の確認を求めて争った。
大学は、国公立、私立を問わず、学生の教育と学術研究を目的とする公共的施設……学生を規律する包括的権能を有する(!)→学生の政治活動を規制する生活要録は不合理なものとはいえない
労働組合が、社会党支持・カンパ徴収決議。政治的自由の侵害か問題となった。「組合員の個人としての政治的自由、特に自己の意に反して一定の政治的態度や行動をとることを強制されない自由」を認め→組合の政治活動に対する組合員の協力義務を否定
定年年齢を、男子55歳、女子50歳と定めた就業規則の効力を争った。性別により不合理な差別を定めたものとして、民法90条(公序良俗)により無効とした。(間接適用)
外国籍を理由にゴルフ場の会員入会を拒否。それを違憲として、ゴルフ場を相手に会員権譲渡の承認を求めた訴訟。「私的な社団であるゴルフクラブが、構成員の資格取得を国籍で制限しても、社会的に許容される限界を越えるとはいえない」=合憲
・伝統的には=「一人でほうっておいてもらう権利」
・昭和39「宴のあと」事件一審判決=「私生活をみだりに公開されない法的保障ないし権利」と定義。この私法上の権利(人格権)は、個人の尊厳を保ち、幸福の追求を保障するうえで必要不可欠であり、憲法に基礎づけられた権利であると認めた。
もともとプライバシー権は、私的領域に他人を立ち入らせないという自由権的=消極的なものと解された。
しかし情報化社会の進展に伴い「自己に関する情報をコントロールする権利」(情報プライバシー権)と捉えられ、プライバシーの保護を公権力に対し積極的に請求していく側面が重視されるようになっている。
ex.昭和63年「行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律」が施行された。
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
○2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第三十五条 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
上記により、部分的にプライバシー権が保障されている。
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
13条後段を根拠として「新しい人権」の一つとしてプライバシー権が認められる。(学説上の通説)
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
○2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
○3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
■法適用の平等=法を執行する行政・司法が国民を差別しないこと(文理解釈)
■法内容の平等=法そのものの内容を平等の原則によって定めるべき。(法の内容が不平等なら、それを平等に適用しても、平等の保障は実現されない)
「法の下に平等」とは、絶対的・機械的平等ではなく、各人の実質的差異を前提として、同一の事情と条件のものでは均等に扱うこと。
★「法律上の取り扱いの差異」(ex.税率)と「実質的差異」(ex.貧富の差)との関係が社会通念からみて合理的であれば、取扱い上の違いは平等違反ではない。=「差別の合理性の有無」が判断基準
■違反ではない取り扱いの違いの例:
・労働条件について女子を優遇
・未成年者の権利制限(飲酒喫煙選挙……)
・累進課税
・特定の職業従事者に、業務上特別の注意義務を課すこと(業務上過失致死罪……)
■アメリカでの積極的差別解消措置=行きすぎると逆差別になるが、機会の平等を回復し、実態に応じた合理的平等を実現するものとして容認されている。日本での例:同和対策や、アイヌ民族の保護対策など。芦部p125
相対的平等説に立つと、「法律上の取り扱いの差異」と「実質的差異」との関係が社会通念からみて合理的であること=「差別の合理性の有無」が判断基準となる。より具体的には、@「立法目的の合理性」、A「立法目的を達成するための手段の合理性」という二つの面から、合理性を判断。
★平等を求められる権利の質に従い、基準を選択:
@精神的自由権の平等=目的の必要、手段の必要不可欠+最少限度
A経済的自由権の積極規制なら=国会に広い裁量、目的の正当、目的と手段の合理的関連性
実父に性交渉を強要され続けた娘が、虐待に堪え切れず、実父を殺害、自首。
最高裁は、刑法200条(尊属殺重罰規定)を無効とし、199条(普通の殺人)を適用して、執行猶予判決。
ただし、親の尊重という立法目的は合理的だが、刑罰が厳しすぎる点のみ違憲(立法目的達成手段として不合理)と判断。少数意見は目的自体違憲とした(学説も)。
第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
○2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
○3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
■信仰告白(信仰の自由の外部への表現)も20条で保障される。
■布教の自由も20条で保証される。直接には21条(表現の自由)の問題になるとの説もある。
■信教の自由は宗教法人に対して保障される。(人権規定は性質上可能な限り法人にも適用される)
■信教の自由が外部行為を伴い、他の人権と衝突する場合は、当然内在的制約に服する。刑事責任を問うても信教の自由への制約には当たらない。
■宗教法人法81.1および.2前段に基づく解散命令が、信教の自由の侵害にあたるか。
■解散命令はもっぱら世俗的目的。宗教団体は存続できる。解散命令によって宗教的行為に支障を生じても、それは間接的で事実上のものに過ぎず、必要やむを得ない法的規制。よって20条に反しない。
宗教法人法
(解散命令)
第八十一条 裁判所は、宗教法人について左の各号の一に該当する事由があると認めたときは、所轄庁、利害関係人若しくは検察官の請求により又は職権で、その解散を命ずることができる。
一 法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたこと。
二 第二条に規定する宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をしたこと又は一年以上にわたつてその目的のための行為をしないこと。
(宗教団体の定義)
第二条 この法律において「宗教団体」とは、宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする左に掲げる団体をいう。
一 礼拝の施設を備える神社、寺院、教会、修道院その他これらに類する団体
二 前号に掲げる団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体
精神的自由権を規制する立法の合憲性は、経済的自由権を規制する立法よりも、とくに厳しい基準によって審査されなければならない
1、検閲・事前抑制
2、漠然不明確または、過度に広範な規制
3、表現内容規制
4、表現内容中立規制
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
・昔の立場:メモ採取を認めるか否かは裁判長の法廷警察権に属する自由裁量事項
1989判例:情報摂取の自由を表現の自由の派生原理として位置づけ、その補助であるメモを取る自由は21条の精神に照らして尊重されるべきであり、公正円滑な訴訟運営を妨げる特段の事情ないかぎり妨げられてはならない
「わいせつ表現は政治的表現より価値が低い」そうです(有斐閣憲法1p350、伊藤p311)
「わいせつ表現については、従来はそもそも憲法の保障の範囲外であることが前提視されていた」そうですよ(注釈p472)
チャタレイ事件判決の「わいせつ文書」の定義:
@徒に性欲を興奮または刺激せしめ、
A普通人の正常な性的羞恥心を害し、
B善良な性的道義観念に反するもの。
「四畳半襖の下張」事件:上記三条件を維持したが、わいせつ性の判断を文書全体との関連で検討する必要性を強調した。芦部p173
わいせつ文書の罪の保護法益との衡量を図りつつ、表現の自由の価値に比重を置いてわいせつ文書の定義を厳格にしぼり、表現内容の規制をなるべく限定:定義づけ衡量論(芦部p172)
刑法
(わいせつ物頒布等)
第百七十五条 わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。
わいせつ罪の保護法益
=性的秩序・風俗(山口各論p497)、
=社会環境としての性風俗を清潔に保ち抵抗力の弱い青少年を保護すること(芦部p172)
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
■公物管理権に基づく集会の許可制:公用物(国、公共団体自身の使用に供される物)は、一般の使用に開放されていない→許可制としても集会の自由の侵害ではない
■《皇居前広場使用禁止事件》S27.5.1
戦後、メーデー式典会場として、この広場を使用して来たが、昭和27年度分の申請が不許可処分となったため、不許可処分の違憲違法性を争った行政事件。
「管理権者の単なる自由裁量に属するものではなく、管理権者は、当該公共福祉用財産の種類に応じ、……その公共福祉用財産としての使命を十分達成せしめるよう適正にその管理権を行使すべきであり、若しその行使を誤り、国民の利用を妨げるにおいては、違法たるを免れない」と述べた。
しかし、当該事件については、メーデー期日を過ぎたので訴えの利益を喪失したとした。
そして、「なお念のため」として、本件不許可処分が違憲違法でないとの実体判断を行った。厚生大臣は……その公園としての使命を達成せしめようとする立場に立って、不許可処分をしたものであって、決して単なる自由裁量によったものでなく管理権の適正な運用を誤ったものとは認められない
■《東京都公安条例事件》s35.7.20
判例の論理:違憲か合憲かは、「許可制」か、「届出制」かというような、形式的な基準では決められない:当該条例は、不許可の場合が厳密に定められているので、文面上は許可制だが、実質的には届出制と変わらない。として、合憲とした。
経済的自由権は精神的自由より強度の制約を受ける。
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
★「公共の福祉に反しない限り」という留保=公権力による規制の要請が強いという趣旨を示す。芦部p205
参考:第二十九条 財産権は、これを侵してはならない。
○2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
1、届出制(理容業など)
2、許可制(風俗営業、飲食業、貸金業など)
3、資格制(医師、薬剤師、弁護士など)
4、特許制(電気、ガス、鉄道、バス等の公益事業)
5、国家独占(旧郵政事業、旧たばこ専売制)
■消極目的規制(警察的規制):
・目的:国民の生命健康に対する危険の防止・除去・緩和
・規制:警察比例の原則。規制は危険の大きさに比例した最小限のものであること。
・合憲性判定基準:厳格な合理性の基準(LRA)
■積極目的規制(社会・経済政策の一環):
・目的:福祉国家理念に基づく、社会的経済的弱者保護。
・規制:特許制など……
・合憲性判定基準:合理性の基準「明白の原則」(規制が著しく不合理であることが明白な場合に違憲とする)
=memo=
消極目的規制は、全国民に平等な利益。積極目的規制は既にある不平等や貧富の差などを拡大しないよう、弱者保護のための不均衡な取り扱い。
積極目的規制は、より政策的であるため、立法・行政の判断が尊重され、司法は厳格な司法審査を行わない。「裁判所に審査能力が欠ける」などと表現
第三十二条 何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。
第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
■判例s35.7.6。32条の「裁判」と82条の「裁判」は同義であり、「性質上純然たる訴訟事件」に限られる。→非訟事件は非公開としても違憲ではない。
■32の裁判とは、単に裁判所による裁判というだけでなく、紛争を公平に解決するにふさわしい手続きでなされるべき、とする見解:ふさわしい手続き=「公開・対審・判決」→非訟事件もまた32条の裁判に含まれる→非訟事件を非公開とすると違憲の問題を生じうることになる。
第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
事例:
■所得税法234、税務職員に納税義務者へ質問する権利を与えている。不答弁は処罰される(所得税法242:8)→不利益供述に当たらないか→収税官吏の調査・質問手続は刑事責任追求のための資料の取得収集に直接結びつかない→合憲
■国税犯則取締法:税務署員に質問権を認める:供述拒否権の告知をしないことは38.1に反するか→調査手続き自体には38.1の保障が及ぶことを認めつつ、「供述拒否権の告知を要するかは立法政策の問題、国税犯則取締法には供述拒否権告知規定がない、告知をしないことは38.1に反しない」とした。
■麻薬取扱者は不正の麻薬に対しても記帳義務を負うか→自ら申請して免許を受けた麻薬取扱者は、一切の制限・義務に服することを受諾している→記帳義務を認める。
■道路交通法72.1による、交通事故の報告義務=合憲限定解釈により不利益供述に当たらない。
■道路交通法67条2項の酒気帯びの疑いある場合の呼気採取、同120条1項11号、拒んだ者への罰則、は→「憲法38.1の保障は供述にのみ及ぶ」として合憲とする。
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
○2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
生活扶助費月額600円が「健康で文化的な最低限度の生活を営む」に足りるかが争われた。
・25条は、国民の生存を確保すべき政治的・道義的義務を国に課したに過ぎず、具体的権利の保障ではない。(=プログラム規定説)
何が「健康で文化的な最低限度の生活」かの判断は、厚生大臣の広い裁量に委ねられる。
障害福祉年金と児童扶養手当の併給禁止の合憲性を争った。
・国の財政事情を無視できない、
・高度の専門技術的な考察と、それに基づいた政策的判断が必要、
→具体的な立法措置は立法府の広い裁量に委ねられている
障害福祉年金支給についての国籍条項が25条に違反しないか?
「立法府は支給対象者の決定につき広汎な裁量権を有している」
全逓東京中郵事件→都教組事件→全農林警職法事件という流れ
■全逓東京中郵事件:公務員の労働基本権制限の合憲性+正当な争議行動は刑事免責されるか。
@労働基本権尊重と国民生活全体の利益を比較考量→制限は合理性の認められる最少限度にとどめる
A国民生活への障害を避けるため必要やむを得ない場合に限る
B制限違反に対し課せられる不利益は、必要な限度を越えず、刑事制裁は必要やむを得ない場合に限る
C代償措置が講ぜられるべき
→以上4条件を挙げて、公労法17.1を合憲とした。
■都教組事件:争議行動禁止とあおり行動処罰を定めた地方公務員法37.1、61:4の合憲性が争われた。
禁止規定を文字どおり解すれば違憲の疑いがある→合憲限定解釈の手法を取るべき→争議行為・あおり行為共に違法性が強いものであることが必要(「二重のしぼりの限定」)として→被告人を無罪に
■全農林警職法事件:地方公務員と同種の内容の国家公務員法の争議行動の禁止が問題となった。
・公務員の地位の特殊性、職務の公共性を強調、国民全体の利益への影響を重視し、
@公務員の勤務条件は法律・予算により定められる→政府への抗議は的外れ、
A私企業と異なり、市場抑制力が働かない、
B人事院をはじめ制度上整備された代書措置が講じられている、
として、争議行動の一律、全面的な禁止を合憲とした。
★なお、人事院勧告実施の凍結に抗議しての争議行動にたいする懲戒処分も憲法28に反しない、として合憲とされる。
■重要注意:このサイトの内容を鵜呑みにしたせいで、あなたがいかなる損害を蒙ろうとも、当方は一切責任を負いません。論証などは、当然間違っているものとお考え下さい。