法学座敷牢 別名 ろおやぁ
択一対策知識整理ノート:憲法 統治
★「唯一の」立法機関=実質的意味の立法は、もっぱら国会が(法律という形式で)定めなければいけない、ということ。芦部p271
国会以外による実質的意味の立法は、憲法に特別の定めある場合(議院規則、最高裁判所規則)を除き許されない。
■国会中心立法の原則との関係で問題になる事。
・内閣が発する政令は、法律の具体的な委任に基づくものである必要がある。
・違憲審査制で、法律の違憲無効に一般的効力説を取ると、裁判所が消極的立法作用を営むことになり、問題となる。
国会による立法は、国会以外の機関の参与を必要としないで成立する。
■国会単独立法の原則との関係で問題になる事。
・天皇には栽可権(明治憲法下で天皇に認められていた権能。芦部p271)はない。
第七十三条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
(略)
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
★これが、委任立法の存在を前提とする規定であり、委任立法の形式的な根拠とされる。
内閣法 第十一条
政令には、法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない。
社会福祉国家において国家の任務が増大したことから、
@専門的・技術的事項に関する立法
A事情の変化に即応し、機敏に対応することを求められる事項に関する立法
B地方的特殊事情に関する立法
C政治の力が大きく働く国会が処理するに不適切な、客観的公正が特に望まれる立法
……の要請が増大したこと。→実際の必要性から条理上認められる。
■公務員の政治的行動を制限した、国家公務員法102.1
第百二条 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
禁止事項を人事院規則に一任している、として問題視される。
猿払事件判例
「公務員の政治的中立性を損なうおそれのある行動類型に属する政治的行為を具体的に定めることを委任するもの」として、国家公務員法102.1は合憲と判示。
学説では、白紙的委任とみる見解が支配的。
人事院規則一四―七(政治的行為)
(政治的行為の定義)
6 法第百二条第一項の規定する政治的行為とは、次に掲げるものをいう。
一 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。
二 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し又は提供せずその他政治的目的をもつなんらかの行為をなし又はなさないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て又は得させようとすることあるいは不利益を与え、与えようと企て又は与えようとおびやかすこと。
三 政治的目的をもつて、賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもつてするを問わずこれらの行為に関与すること。
四 政治的目的をもつて、前号に定める金品を国家公務員に与え又は支払うこと。
五 政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し若しくはこれらの行為を援助し又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること。
六 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること。
七 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること。
八 政治的目的をもつて、第五項第一号に定める選挙、同項第二号に定める国民審査の投票又は同項第八号に定める解散若しくは解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること。
九 政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し又は指導しその他これに積極的に参与すること。
十 政治的目的をもつて、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し又はこれらの行為を援助すること。
十一 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること。
十二 政治的目的を有する文書又は図画を国、特定独立行政法人又は日本郵政公社の庁舎(特定独立行政法人及び日本郵政公社にあつては、事務所。以下同じ。)、施設等に掲示し又は掲示させその他政治的目的のために国、特定独立行政法人又は日本郵政公社の庁舎、施設、資材又は資金を利用し又は利用させること。
十三 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること。
十四 政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること。
十五 政治的目的をもつて、政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること。
十六 政治的目的をもつて、勤務時間中において、前号に掲げるものを着用し又は表示すること。
十七 なんらの名義又は形式をもつてするを問わず、前各号の禁止又は制限を免れる行為をすること。
注記:猿払事件は規則の13号に反するとされた。
第四十二条 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。
■第1院……国民を直接代表する。
■第2院の目的区分……貴族制、連邦制、民主的第二次院制(日本)に区分。
第四十三条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。←民主的二院制
■二院を置く意味……一院の専制の防止、一院と政府の衝突の緩和、一院の軽率行為・過誤の防止、民意の忠実な反映 etc。
■(わが国では)衆議院が優位する。明治憲法では二院が対等。
・衆議院のみ権能を有する事項:内閣信任・不信任決議権(69条)、予算先議権(60条)
第六十九条 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。
第六十条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。
・衆議院の議決が優位するもの:法律案の議決、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名。
・すべての国家作用から、立法、司法を除いた残り全部、と定義。
→広範な行政活動を包括的に捉えることができる。
→(歴史的に)君主に一元的に属していた統治権から、立法と司法が分化独立し、君主に行政権が残された、という経緯にも適う解釈。
批判1→あまりに何事も語らなすぎる。
批判2→新しい作用がなんでも行政権に含まれることになり、行政国家の肥大化を招く危険。(佐藤幸治)
「行政とは、国家が目的を達成すべき現実の状況を惹起することに差し向けて行う作用」佐藤幸治……あー
・行政権を、立法機関が制定した法律を執行する作用として限定して定義する見解←この要約をみる限り、控除説とは思えない。積極的な定義では??
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
司法権が及ぶ範囲として、「具体的な争訟」が存在することが必要。
法律上の争訟とは:
@当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する争訟であり、
A法律の適用により終局的に解決できるもの。
■具体的事件なく、抽象的に法令の解釈・効力を争うこと。
■事実の存否、個人の主観的意見の当否、学問上・技術上の論争……ex.試験の合否判定、信仰の対象の価値や宗教的教義、宗教上の地位に関する判定、etc.
■国または地方自治体が行政権として、国民に対し、行政上の義務の履行を求める訴訟は法規の適用の適正、一般公益の保護を目的とするもので、法律上の争訟に当たらない。
■政党の内部自治に関する事柄
・共産党袴田事件(最判s63.12.20)
処分が一般市民法秩序と直接の関係を有しない内部事項にとどまるかぎり裁判所の審査権は及ばない。
侵害する場合でも、政党の自律的規範が公序良俗に反するなど特段の事情がない限り、右規範に照らし、規範を有しないときは条理に照らし、適正な手続きによってなされたかによって決すべき。審理も右の点に限られる。
第八十条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。
■「再任することができる」ではなく「されることができる」と定めているので、文理解釈からは、指名権者の自由裁量とは言えない。再任について一定の積極的地位を保障している。
■最高裁の指名名簿に載らない限り再任されないので、実際に問題になるのは、内閣による「再任」の場面ではなく「最高裁による再指名」の場面。
■公務員は一般的には、終身雇用が原則といっても、裁判官にも終身制が原則とはいえない。
■正当な再任拒否事由:「特段の事情ある不適格者」として。
A説:任官欠格事由……成年被後見人又は被保佐人を含む。(条文参照)
B説:免官・罷免事由……もっとも厳格で裁判官の身分保障に資する。
C説:「著しく成績の悪いもの」……恐い。自由裁量??
裁判所法 第四十六条 (任命の欠格事由)
他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者の外、左の各号の一に該当する者は、これを裁判官に任命することができない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者
国家公務員法 第三十八条
次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則の定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
一 成年被後見人又は被保佐人
参考:裁判官の免官・罷免につき裁判官弾劾法
裁判官弾劾法 第二条 (弾劾による罷免の事由)
弾劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。
一 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。
二 その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。
■裁判官の性別、思想・信条、団体への加入、その他表現の自由。
■憲法76.3を遵守してなされた判決内容や懲戒事由
第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
○2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
○3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
■宮本判事補は、当時最高裁から問題視されていた革新的団体「青年法律家協会」の会員であった。
■最高裁は再任制度につき自由裁量説を採った。
■免職ではなく、自由裁量で再任しないだけなので、理由は言う必要がない、との見解。
第八十二条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。
・裁判の公開は制度として保障されている→各人は裁判を傍聴できる
・各人が裁判所に対し傍聴を権利として認めたものではない
・メモ採取を権利として保障したものでもない
×抽象的審査権:最高裁判所に、法令の合憲性を抽象的・一般的に審査決定する権限(憲法裁判所的権限)を認める説:判決の一般的効力説に結びつく
○付随的審査権:具体的な争訟(具体的な権利義務に関する争い、法律関係の存否に関する争い)を前提に、その解決に必要な限りでの違憲審査権があるにとどまるとする:(根拠)81条が「第6章 司法」の章に定められていることを重視。:判決の個別的効力説につながる
第八十一条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。
@一般的効力説(客観的に無効になる)、A個別効力説(当該事件につき適用が排除される)、B法律委任説(法律の定めに任せられる)
憲法判断は事件解決に必要な範囲でしか行わない(付随的審査性の元で取られる準則)
■在宅投票制度を廃止したまま復活を怠った不作為自体は違憲。
■しかし、国家賠償法1.1で要求される故意・過失の存在を否定。
■国会議員は、立法(不作為含む)に関して政治的責任を負うにとどまる。個別の国民の権利に対応した法的義務を負わない。
■国賠法1.1の適応上違法と評価されるのは、立法が、憲法の一義的文言に反するなどの例外的な場面だけ。
■立法不作為の違憲審査を否定するに等しい厳しい制約。
=参考条文=
国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
憲法
第四十七条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
■選挙に関する具体的立法を国会の裁量的権限に任せる趣旨
第五十一条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
■51による免責:立法過程における議員の行動は、政治的責任の対象とするにとどめるのが、代表民主制の趣旨に適う
■重要注意:このサイトの内容を鵜呑みにしたせいで、あなたがいかなる損害を蒙ろうとも、当方は一切責任を負いません。論証などは、当然間違っているものとお考え下さい。