法学座敷牢 別名 ろおやぁ
知識整理ノート:民法 債権各論(契約法)
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双務契約の存続上の牽連関係の問題
一方の債務が、債務者の帰責事由なく消滅(履行不能)したとき、他方の債務はどういう影響を受けるべきか。
《事例》:AからBへの建物引渡債務。建物が火事で消滅。Bの代金債務はどうなる?
ここで言う債務者・債権者とは消滅した債務(危険)についての債務者・債権者である
危険とは?双務契約で生じた一方の債務が、後発的に消滅すること。債務者の責に帰すべからざる事由によって履行不能(後発的不能)になった→帰責事由がないから損害賠償債務に転化しない→債務が消滅(=危険)→その危険をどちらが負担するか?
534を条文通り適用すると結論が不当なので、その適用を制限する
「贈与者が自己の財産を無償で受贈者に与える意思を表示し相手方が受諾することによって成立する契約」549
■無償性
■片務契約
■無方式の諾成契約(口約束で成り立つ)
■条文上「自己の財産」とするが、他人物を目的物としても債権契約は有効。(他人物売買と同様)→履行不能の場合、目的物引渡債権は損害賠償債権に転化する。
■書面によらない場合、取り消せる。550。ただし、履行の終わった部分は取り消せない。
■「履行の終わりたる」の意味
・動産:「引渡の終了」
・不動産:@所有権移転登記、A権利証交付、B引渡(簡易の引渡、占有改定でも可)、C未登記建物の受贈者への直接の所有権保存登記……のいずれか。
★「履行の終わりたる」の基準は受贈者に実質的に物的支配権が移転した場合
■贈与の目的物(権利)に瑕疵があっても原則、担保責任を負わない。551.1
■瑕疵、欠陥を知りつつ、受贈者に告げなかったときは、担保責任負担。551但。
■責任は、損害賠償のみ(受贈者は解除しても意味なし)、範囲は信頼利益に限定される(通説)。ここ、近江Xp115間違って履行利益と書いてある!要注意
性質に反しない限り、双務契約の規定が準用される。ex.危険負担
・一方当事者が財産権の移転を「約し」、相手方が代金を支払うことを「約する」ことで、効力を生ずる。555
■双務契約、有償契約、諾成契約(不要式)
■他人物も目的物に出来る。560
■権利(債権)も目的物に出来る。569
■無過失責任(通説)
■効果は、解除、代金減額請求、損害賠償
売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合、566を準用し、売主は瑕疵担保責任を負う。570
=効果=
■瑕疵のため契約目的を達しえない場合→解除&損害賠償請求
■そうでないとき→損害賠償請求のみ(566.1参照)
=問題点=
■具体的な適用範囲:不特定物にも適用される?
■損害賠償の範囲は:信頼利益?履行利益?対価的制限?
・不特定物の場合、瑕疵あるものの給付は「債務の本旨に従った履行」とは言えず、売主は不完全履行として債務不履行責任を負う。
・特定物の場合、目的物に瑕疵があってもそれを給付すれば給付義務は尽くされるので(瑕疵のないその物は存在しないから=特定物ドグマと呼ばれる)、債務不履行を生じる余地はない。
→しかし、それでは、不特定物の場合と公平を欠く。
→そこで、特定物の場合に買主保護のため、法律が特別に売主に課した担保責任が瑕疵担保責任(570)である(=法定責任)とする説(通説・判例・近江も)。
@特定物売買=無過失責任(瑕疵担保責任570)、不特定物=過失責任(債務不履行415)となって、均衡を欠く。
A不特定物では、瑕疵ある給付は債務を消滅させないから代物請求・瑕疵修補請求が可能、but、特定物だとそれが出来ない。
B解除につき、特定物では催告が不要(570→566.1)だが、不特定物では原則必要(541:履行遅滞による解除権)。
C請求権の主張期間:特定物=1年(570→566.3)、but、不特定物=10年(167.1:通常の債権の消滅時効)
D損害賠償の範囲:特定物=信頼利益、but,不特定物=履行利益
←これらの不均衡は、ようは瑕疵担保責任570と債務不履行責任415との性質の違い。
←法定責任説は、これらの不都合を信義則から制限する態度を取る(出ましたっ):Aにつき、特定物でも可能であれば瑕疵修補を認める。Cにつき、不特定物でも、受領後、瑕疵発見後に、適当な時期に売主に通知などをしなければ、代物請求は出来ない、とする。Dでも、特定物の売主に過失がある場合は、履行利益の賠償を認める。
■賃貸借=使用収益権限の移転。
物的支配権能として使用収益権能を移転する地上権や永小作権の場合、所有者は、使用収益権能を失うのに対し、賃貸借では、使用収益権能を債権的・人的に「賃貸」するだけなので、使用収益権能は依然所有者が有する。(債権的使用権限と表現できる?)
■諾成・有償・双務契約
□必要費:目的物を維持・保存するのに要した費用。ただちに償還義務を負う。608.1
□有益費:目的物の改良のために支出された費用。契約終了時に価格の増加が現存する場合に限り、賃借人の支出額または増加額を選択して償還義務を負う(608.2→196.2)
□償還請求の相手方:費用支出後に、賃貸人が交代した場合誰に償還請求するか?→特段の事情なければ新賃貸人が償還義務者。(最判S46.2.19)近江Xp188、内田Up197
□償還請求の期間:償還請求は目的物返還から1年以内。(621→600)
・通常の債権として10年で消滅。(167.1)
★必要費は発生と同時に償還請求権の時効が進行するので、賃貸借の終了以前に消滅時効に掛かることがある。対して、有益費償還請求権は、契約終了時に発生し、一年以内に行使する必要があるので、消滅時効はありえない。(LEC)
・明渡し前に賃借人の債権者は、敷金返還請求権の転付命令を受けられるか→出来ない。∵発生および金額が不確定であり、券面額のある債権にあたらない(最判s48.2.2)
■下請負:下請負は請負人の履行補助者であり、注文者と直接の法律関係にたたない。
■A材料提供者帰属説判例通説近江
@注文者が材料提供→所有権は注文者に。加工に関する246.1但書(加工によって生じた価格が材料の価格を越えたときは加工者が所有権を取得する)の適用無し。
A請負人が材料提供→請負人が所有権取得し、引渡によって注文者に移転する。
■B注文者帰属説:AAが請負人に所有権を認めるのは、代金回収の担保の目的であり、その目的のためには同時履行の抗弁権、留置権、先取特権があるから十分、とする。
★もともと請負は注文者の物を修理するなど「仕事の完成」だけが問題となっていたので所有権は問題にならなかったが、経済の発展に伴い、請負人が材料を提供する場合も請負に含有することになり、所有権の問題が登場した。近江Xp232。
■所有権に関する特殊事例:請負人Xが独立の不動産に至らない建前を放棄→第三者Yが引き継いで完成→243(動産の付合:主たる動産の所有者に帰属)、242(不動産の付合:所有者は従として付合したものの所有権を取得する)により、Xが所有権を取得する?→動産の付合243ではなく、加工246を適用。加工者Yの提供材料費+加工によって生じた価格が、X提供材料費を越えた場合、所有権はYに帰属する。最判s54.1.25内田Tp383
・瑕疵担保責任追求権は注文者たる地位によって認められる。目的物を譲渡しても、追求できる。大判t4.12.28LECの問題集……
■注文者が破産宣告→請負人(&破産管財人)は解除出来る。642.1
・解除によって生じた損害賠償の請求×、破産財団の配当への加入○642.2。近江p242(LEC)
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