法学座敷牢 別名 ろおやぁ

いんでっくす あばうと りんく ぶろぐ けいじばん

知識整理ノート:民法 債権各論(契約法)

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目次

  1. 序論 債権各論
  2. 契約法(契約による債権関係)
    1. 契約法総論
      1. 「契約」の意義
      2. 契約の成立
      3. 契約の効力(1)──同時履行の抗弁権
      4. 契約の効力(2)──危険負担 債権者主義534の適用制限
      5. 契約の効力(3)──契約の第三者効 第三者のためにする契約537
      6. 契約の解除
    2. 契約法各論
      1. 贈与 贈与549 書面によらない贈与550──取消可能性 贈与の効力、 贈与者の財産移転義務 贈与者の担保責任 負担付贈与
      2. 売買 売買555 瑕疵担保責任(物の瑕疵)570
      3. 交換
      4. 消費貸借
      5. 使用貸借
      6. 賃貸借
        1. 賃貸借の意義・性質
        2. 賃貸借の成立・存続期間
        3. 賃貸借の効力
        4. 賃貸借の終了
        5. 借地関係
        6. 借家関係
        7. サブリース
        8. 農地関係
      7. 雇傭
      8. 請負
      9. 委任
      10. 寄託
      11. 組合
      12. 終身定期金
      13. 和解
    3. 非典型契約
      1. 財産権譲渡・利用に関する契約
      2. 信用供与に関する契約
      3. 役務(サービス)提供に関する契約

序論 債権各論

契約法(契約による債権関係)

契約法総論

「契約」の意義

契約の成立

契約の効力(1)──同時履行の抗弁権

契約の効力(2)──危険負担

双務契約の存続上の牽連関係の問題

一方の債務が、債務者の帰責事由なく消滅(履行不能)したとき、他方の債務はどういう影響を受けるべきか。
 《事例》:AからBへの建物引渡債務。建物が火事で消滅。Bの代金債務はどうなる?

  1. 債務者主義:Bの代金支払債務も消滅。A(債務者)は反対給付を受けない。=債務の消滅(=危険)は債務者Aが負担する。
    1. 【根拠】両債務の対価的牽連性から、他方債務も消滅する。
    2. 【効果】結果的に公平であり、常識にも合致する。
  2. 債権者主義:Bの代金支払債務は消滅しない。A(債務者)は代金を請求できる。=債務の消滅(=危険)は債権者Bが負担する。
    1. 【根拠】「利益の帰する所に損失もまた帰する」近世イギリスにおける海上輸送の危険負担の問題から発達
    2. 【効果】意思主義を前提とする所有者主義に合致。しかし不動産売買などについて、全く不合理な結果を招く→判例・学説における、534適用制限の努力へとつながる
  3. (所有者主義=物権者主義という立法例もある)
  4. 《原則》:民法上の原則は債務者主義536だが、特定物に関する物権の設定移転に関しては債権者主義534を採ったため、事実上原則化している。近江Xp38
    1. 《例外1》:特定物に関する物権の設定移転536。&不特定物も特定401.2したのちは債権者主義となる
    2. 《例外2》:停止条件付き双務契約の処理535
      1. 条件成否未定の間に目的物「滅失」535.1→534の適用がなく債務者主義
      2. 条件成否未定の間に債務者の責めに帰すべからざる事由で目的物「毀損」535.2→債権者主義←(学説は、滅失と毀損を区別する理由はないとして共に債務者主義を主張)
      3. 条件成否未定の間に債務者の責めに帰すべき事由で目的物「毀損」535.2→債権者は、履行の請求or解除権を請求できる。これは、危険負担ではなく、債務不履行責任を注意的に規定したもの

ここで言う債務者・債権者とは消滅した債務(危険)についての債務者・債権者である

危険とは?双務契約で生じた一方の債務が、後発的に消滅すること。債務者の責に帰すべからざる事由によって履行不能(後発的不能)になった→帰責事由がないから損害賠償債務に転化しない→債務が消滅(=危険)→その危険をどちらが負担するか?

    《責に帰すべからざる事由》とは?
  1. 債務者・債権者双方の「責に帰すべからざる事由」→危険負担
  2. 債権者の「責に帰すべき事由」→危険負担534.1、536.2
  3. 債務者の「責に帰すべき事由」→債務不履行
  4. 債務者・債権者双方の「責に帰すべき事由」→債務不履行

債権者主義534の適用制限

534を条文通り適用すると結論が不当なので、その適用を制限する

  1. 商事売買限定説:商事売買における買主は転売利益を目的とするので、危険も負担してよい。←(批判)商事と民事の区別が困難、民法規定を商事に限定するのは解釈として飛躍しすぎ
  2. 「支配」関係説(我妻説):目的物の支配関係(引渡・登記・物権変動)を基準として、危険負担者を決定。
  3. 新所有者主義説:支配概念説から→支配時期=引渡時・登記時・代金支払時=実質的に所有権移転時である→所有権移転時に危険も移転する。(批判)代金を早く払えば、危険が早く移転するのは公平に反する
  4. 「現実支配」説◎近江:新所有者主義説から「代金支払時」だけを排除し、引渡時・登記時だけを危険移転時期とする。(=〈支配の移転〉と〈所有権の移転〉が分離することになる)←(批判)「所有者負担主義」観念を否定することになる。
  5. 「実質的所有者」負担説:「実質的所有権」=「使用収益権」を指すと捉え、引渡時のみを基準とする。←(批判)登記の移転は、全支配権能の移譲を意味する。

契約の効力(3)──契約の第三者効

第三者のためにする契約537

契約の解除

契約法各論

贈与

贈与549の性質

「贈与者が自己の財産を無償で受贈者に与える意思を表示し相手方が受諾することによって成立する契約」549

■無償性
■片務契約
■無方式の諾成契約(口約束で成り立つ)

他人物の贈与

■条文上「自己の財産」とするが、他人物を目的物としても債権契約は有効。(他人物売買と同様)→履行不能の場合、目的物引渡債権は損害賠償債権に転化する。

書面によらない贈与550──取消可能性

■書面によらない場合、取り消せる。550。ただし、履行の終わった部分は取り消せない。
■「履行の終わりたる」の意味
 ・動産:「引渡の終了」
 ・不動産:@所有権移転登記、A権利証交付、B引渡(簡易の引渡、占有改定でも可)、C未登記建物の受贈者への直接の所有権保存登記……のいずれか。
 ★「履行の終わりたる」の基準は受贈者に実質的に物的支配権が移転した場合

贈与の効力

贈与者の財産移転義務

贈与者の担保責任

■贈与の目的物(権利)に瑕疵があっても原則、担保責任を負わない。551.1
■瑕疵、欠陥を知りつつ、受贈者に告げなかったときは、担保責任負担。551但。
■責任は、損害賠償のみ(受贈者は解除しても意味なし)、範囲は
信頼利益に限定される(通説)。ここ、近江Xp115間違って履行利益と書いてある!要注意

負担付贈与

 性質に反しない限り、双務契約の規定が準用される。ex.危険負担

売買555

・一方当事者が財産権の移転を「約し」、相手方が代金を支払うことを「約する」ことで、効力を生ずる。555
■双務契約、有償契約、諾成契約(不要式)
■他人物も目的物に出来る。560
■権利(債権)も目的物に出来る。569

権利担保責任(「権利の瑕疵」)=追奪担保責任

■無過失責任(通説)
■効果は、解除、代金減額請求、損害賠償

瑕疵担保責任(物の瑕疵)570

 売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合、566を準用し、売主は瑕疵担保責任を負う。570
 =効果=
 ■瑕疵のため契約目的を達しえない場合→解除&損害賠償請求
 ■そうでないとき→損害賠償請求のみ(566.1参照)
 =問題点=
 ■具体的な適用範囲:不特定物にも適用される?
 ■損害賠償の範囲は:信頼利益?履行利益?対価的制限?

法定責任説

 ・不特定物の場合、瑕疵あるものの給付は「債務の本旨に従った履行」とは言えず、売主は不完全履行として債務不履行責任を負う。
 ・特定物の場合、目的物に瑕疵があってもそれを給付すれば給付義務は尽くされるので(瑕疵のないその物は存在しないから=特定物ドグマと呼ばれる)、債務不履行を生じる余地はない。
 →しかし、それでは、不特定物の場合と公平を欠く。
 →そこで、特定物の場合に買主保護のため、法律が特別に売主に課した担保責任が瑕疵担保責任(570)である(=法定責任)とする説(通説・判例・近江も)

法定責任説の問題点

@特定物売買=無過失責任(瑕疵担保責任570)、不特定物=過失責任(債務不履行415)となって、均衡を欠く。
A不特定物では、瑕疵ある給付は債務を消滅させないから代物請求・瑕疵修補請求が可能、but、特定物だとそれが出来ない。
B解除につき、特定物では催告が不要(570→566.1)だが、不特定物では原則必要(541:履行遅滞による解除権)。
C請求権の主張期間:特定物=1年(570→566.3)、but、不特定物=10年(167.1:通常の債権の消滅時効)
D損害賠償の範囲:特定物=信頼利益、but,不特定物=履行利益
 ←これらの不均衡は、ようは瑕疵担保責任570と債務不履行責任415との性質の違い
 ←法定責任説は、これらの不都合を信義則から制限する態度を取る(出ましたっ):Aにつき、特定物でも可能であれば瑕疵修補を認める。Cにつき、不特定物でも、受領後、瑕疵発見後に、適当な時期に売主に通知などをしなければ、代物請求は出来ない、とする。Dでも、特定物の売主に過失がある場合は、履行利益の賠償を認める。

交換

消費貸借

使用貸借

賃貸借601-

賃貸借の意義・性質

 ■賃貸借=使用収益権限の移転
  物的支配権能として使用収益権能を移転する地上権や永小作権の場合、所有者は、使用収益権能を失うのに対し、賃貸借では、使用収益権能を債権的・人的に「賃貸」するだけなので、使用収益権能は依然所有者が有する。(債権的使用権限と表現できる?)
 ■諾成・有償・双務契約

賃貸借の成立・存続期間

賃貸借の効力

賃貸人の権利・義務

費用償還義務

  □必要費:目的物を維持・保存するのに要した費用。ただちに償還義務を負う。608.1
  □有益費:目的物の改良のために支出された費用。契約終了時に価格の増加が現存する場合に限り、賃借人の支出額または増加額を選択して償還義務を負う(608.2→196.2)
  □償還請求の相手方:費用支出後に、賃貸人が交代した場合誰に償還請求するか?→特段の事情なければ新賃貸人が償還義務者。(最判S46.2.19)近江Xp188、内田Up197
  □償還請求の期間:償還請求は目的物返還から1年以内。(621→600)
   ・通常の債権として10年で消滅。(167.1)
   ★必要費は発生と同時に償還請求権の時効が進行するので、賃貸借の終了以前に消滅時効に掛かることがある。対して、有益費償還請求権は、契約終了時に発生し、一年以内に行使する必要があるので、消滅時効はありえない。(LEC)

賃借人の権利・義務

敷金
    敷金
  1. 契約成立時〜明渡し終了時までの賃借人の債務不履行による損害を担保する。
  2. あらかじめ交付され、契約終了後、損害額を差し引いた額が無利子で賃借人に返還される。
  3. 損害=賃料債務(不払い)、損害賠償債務(故意・過失による毀滅)∴通常の使用により不可避的に発生する摩耗・劣化はカバーしない
  4. 契約存続中に賃料不払い→敷金は当然には充当されない(賃貸人の自由)∴充分な敷金が差し入れられていても、賃料不払いを理由とする契約解除を出来る(大判s10.5.15)
  5. 敷金の返還義務と賃貸物の返還義務との関係(1)対価的関係になく同時履行の抗弁権は成立しない。(2)家屋明渡し債務は先履行債務なので、留置権も成立しない。(最判s49.9.2)

・明渡し前に賃借人の債権者は、敷金返還請求権の転付命令を受けられるか→出来ない。∵発生および金額が不確定であり、券面額のある債権にあたらない(最判s48.2.2)

賃貸借の終了

借地関係

借家関係

サブリース

農地関係

雇傭

請負

2請負の効力

請負人の仕事完成義務

 ■下請負:下請負は請負人の履行補助者であり、注文者と直接の法律関係にたたない。

目的物の所有権帰属

■A材料提供者帰属説判例通説近江
 @注文者が材料提供→所有権は注文者に。加工に関する246.1但書(加工によって生じた価格が材料の価格を越えたときは加工者が所有権を取得する)の適用無し。
 A請負人が材料提供→請負人が所有権取得し、引渡によって注文者に移転する。
■B注文者帰属説:AAが請負人に所有権を認めるのは、代金回収の担保の目的であり、その目的のためには同時履行の抗弁権、留置権、先取特権があるから十分、とする。
 ★もともと請負は注文者の物を修理するなど「仕事の完成」だけが問題となっていたので所有権は問題にならなかったが、経済の発展に伴い、請負人が材料を提供する場合も請負に含有することになり、所有権の問題が登場した。近江Xp232。

■所有権に関する特殊事例:請負人Xが独立の不動産に至らない建前を放棄→第三者Yが引き継いで完成→243(動産の付合:主たる動産の所有者に帰属)、242(不動産の付合:所有者は従として付合したものの所有権を取得する)により、Xが所有権を取得する?→動産の付合243ではなく、加工246を適用。加工者Yの提供材料費+加工によって生じた価格が、X提供材料費を越えた場合、所有権はYに帰属する。最判s54.1.25内田Tp383

瑕疵担保責任

・瑕疵担保責任追求権は注文者たる地位によって認められる。目的物を譲渡しても、追求できる。大判t4.12.28LECの問題集……

3請負の終了

 ■注文者が破産宣告→請負人(&破産管財人)は解除出来る。642.1
  ・解除によって生じた損害賠償の請求×、破産財団の配当への加入○642.2。近江p242(LEC)

委任

寄託

組合

終身定期金

和解

非典型契約

財産権譲渡・利用に関する契約

信用供与に関する契約

役務(サービス)提供に関する契約

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